【解法の要点】
てんかんに関する知識を問う問題である.てんかんは全般発作と部分発作に分類される.全般発作では,ミオクロニー発作以外は意識を消失する.部分発作の中で,意識消失を伴わないものを単純部分発作,意識消失を伴うものを複雑部分発作という.単純部分発作には,焦点運動発作(Jakson発作など)と自律神経発作が含まれ,複雑部分発作には精神運動発作が含まれる.
【解説】
◯(1) 間代発作は,意識消失を伴う.筋が収縮・弛緩を繰り返すことで,ガクンガクンと震える.
◯(2) 強直発作は意識が消失し,筋が強直する.
◯(3) 欠神発作は,数秒から数十秒間の意識消失を主症状とする発作で,けいれんなどの目立った運動症状はない.過換気によって誘発されることがあり,脳波上3Hzの棘徐波がみられる.
✕(4) Jackson発作は単純部分発作のひとつで,意識消失は伴わない.前頭運動野(中心前回)で始まったてんかん発作が,隣接部位に進展・波及し,顔面→上肢→下肢などに移動する.
◯(5) 非定型欠神発作は,欠神発作と同様に意識消失を主症状とするが,始まりと終わりが不明瞭で,脳波上は1.5~2.5Hzの棘徐波がみられる.
正解 : (4)
【解法の要点】
てんかんに関する知識を問う問題.部分発作の中で,意識消失を伴わないものを単純部分発作,意識消失を伴うものを複雑部分発作という.単純部分発作には,焦点運動発作(Jackson型など)と自律神経発作が含まれ,複雑部分発作には精神運動発作が含まれる.
【解説】
✕(1) 単純部分発作では意識障害はみられない.
◯(2) 欠神発作は過換気によって誘発され,脳波上に特徴的な3Hzの棘徐波複合(spike and slow wave complex)が出現する.
✕(3) 特発性てんかんの多くの病因は不明である.当然,器質的病変は認められない.
◯(4) 側頭葉てんかんでは単純部分発作や複雑部分発作を示す.
✕(5) 全般発作は両側大脳半球が同時に過剰放電して始まる.
正解 : (2),(4)
【解法の要点】
てんかんについての標準的な問題である.あまり考え込まずに確実に覚えているものを選択するのが本問ではよい.
【解説】
✕(1) てんかんには,遺伝性のものは少ないが存在する.
✕(2) 単純部分発作では意識障害はみられない.
✕(3) 乳児期から老年期まで,どの年齢にも生じるが,小児と高齢者に多い.
◯(4) てんかんの病因は,原因が不明な特発性と原因がある症候性に分けられる.症候性の原因としては,脳の先天奇形,脳腫瘍,脳血管障害,神経変性疾患などが挙げられる.
✕(5) てんかんの有病率は0.5~1%であり,約100万人と推定されている.
正解 : (4)
【解法の要点】
高齢(65歳以上)発症てんかんの有病率は1~2%であり,高齢化社会の到来とともに増加傾向にある.
【解説】
✕(1) 脳卒中や神経変性疾患などを原因とする症候性てんかんの発症が多い.
✕(2) 患者数は減少傾向にある.
◯(3) 脳の器質的病変を原因とする部分発作を呈することが多い.
✕(4) 約30%がてんかん重積状態をきたすといわれ,その頻度は少なくない.
✕(5) 抗てんかん薬が有効であり,大部分の発作を抑えることができる.
正解 : (3)
【解法の要点】
複雑部分発作の発作中は意識が消失する.そのほかに自動症があり,口をもぐもぐさせたり,徘徊したり,その場に適応しない異常行動を生ずる.発作中の行動は危険なもの以外は無理に抑制せず,周囲に危険物があれば取り除き,意識が回復するまで一定の距離を保って見守るのがよい.
【解説】
✕(1) 体をゆすらずに患者を見守る.
✕(2) 大声をかけずに患者を見守る.
◯(3) 自動症による徘徊の可能性があるため,危険物を取り除き,一緒に行動する.
✕(4) 割り箸を噛ませるのは,口の中を傷つけたり,歯が折れたり,嘔吐を誘発するため,危険である.
✕(5) 室内に1人きりにせず,注意深く見守るのがよい.
正解 : (3)
【解法の要点】
てんかんは頻出事項である.部分性・全般性発作の分類,発症年齢,症状や脳波などにより整理しておこう.出題される時の疾患名が非常に煩雑であることも少なくないので, “欠神”や“ミオクロニー”といった用語の概念・イメージと共に,また,発作と症候群の概念の違いにも注意しつつ少し細かく覚えるような対策をお勧めする.
【解説】
✕(1) 覚醒時大発作てんかんは,特発性全般性発作に分類され,朝起きたての頃や,仕事が終わって寛いでいる夕刻に意識消失を伴う発作が起こることが多い.予後は良好で,知能は正常である.
◯(2) ミオクロニーてんかんは,突然全身あるいは四肢や体幹の一部にけいれんが起こるもので,全般発作である. 1~10 歳が好発年齢であり,発作時も意識は保たれる.光刺激で誘発されやすい.予後は良好だが,抗てんかん薬は一生必要である.
✕(3) 欠神てんかんは過呼吸により誘発されやすい.欠神発作(アブサンス)は5~10秒程度の意識消失で,脳波上は典型的な3Hz の棘徐波複合を認める.
✕(4) 側頭葉てんかんの多くは複雑部分発作に分類され,精神症状や性格変化を伴うこともあるが知能は正常である.発作中の意識・記憶は欠如している.複雑部分発作では,側頭葉に限局する棘徐波複合脳波が認められる.睡眠で賦活される.
✕(5) Lennox-Gastaut(レノックス・ガストー)症候群は,West 症候群より移行して起こる.光刺激では誘発されない.発作は難治性で頻発し,重積状態を来しやすい.1~8歳の幼児に好発し,多彩なてんかん発作と精神発達遅滞を伴う.脳波は発作間欠期に全般性遅棘徐波複合(1~2.5 Hz slow spike & wave complex),hypsarrhythmia(高度の律動異常)がみられる.
正解 : (2)