【解法の要点】
パーソナリティ障害の疫学については,依存的なものや情緒が不安定で人を巻き込むものは女性に多く,頑固なものや反社会性を帯びたものは男性に多いと直感的にとらえるのがよい.
【解説】
✕(1) 依存性パーソナリティ障害は女性に多い.
✕(2) 演技性パーソナリティ障害は女性に多い.
✕(3) 境界性パーソナリティ障害は女性に多く,男性の2倍と考えられている.
◯(4) 強迫性パーソナリティ障害は男性に多い.
◯(5) 反(非)社会性パーソナリティ障害は男性に多い.
正解 : (4),(5)
【解法の要点】
見捨てられ不安は,親や恋人など自分にとって重要な人物から見捨てられるのではないかという不安をいう.
【解説】
✕(1) 依存性パーソナリティ障害の患者は,他人に自分の重要な生活上の決定をしてもらいたいという過剰な欲求をもち,他人の意志に過度に従う.
✕(2) 演技性パーソナリティ障害の患者は,過度な情動性を示し,人の注意をひこうとする.
✕(3) 回避性パーソナリティ障害の患者は,否定的評価に対して敏感で,社交的な交流を避けようとする.
◯(4) 境界性パーソナリティ障害の患者は,対人関係,自己像,および感情の不安定性と著しい衝動性を示す.見捨てられ不安もその症状の一つである.見捨てられることへの不安により薬物過剰摂取やリストカット等の自傷行為を繰り返す.
✕(5) 自己愛性パーソナリティ障害の患者は,自分が素晴らしいと思い,自己中心的に振る舞う.
正解 : (4)
【解法の要点】
パーソナリティ障害とは,ある人の認知,感情,対人関係機能,衝動の制御能力が,その人の所属する社会で求められる平均的なものに比べ著しく偏っているため,社会生活上の困難を生じる場合をいう.本問では,統合失調型パーソナリティ障害とシゾイド(統合失調質)パーソナリティ障害との区別が問題となる.設問では「奇異な考え方」「風変わりな行動」がキーワードである.これにより診断が確定できる.
【解説】
✕(1) 演技性パーソナリティ障害では,過度に人の注意を引こうとする.
✕(2) 依存性パーソナリティ障害
◯(3) 統合失調型パーソナリティ障害では,奇異な考え方,風変わりな行動,魔術的思考を示す.
✕(4) 猜疑性(妄想性)パーソナリティ障害では,他人に対する不信,疑い深さが強い.
✕(5) シゾイド(統合失調質)パーソナリティ障害は,極めて内向的で人との接触に乏しく,社会技能の障害が顕著である.社会から孤立しようとする傾向があり,冷淡,無関心,孤立などがみられる.
正解 : (3)
【解法の要点】
パーソナリティ障害は,ある人の認知,感情,対人関係機能,衝動の制御能力が,その人の所属する社会で求められる平均的なものに比べ著しく偏っているため,社会生活上で困難が生じる場合をいう.
【解説】
◯(1) 抑うつ,不安,情動不安定,衝動性などの症状や併存する精神疾患に対し,薬物療法を行う.
✕(2) 関係者が本人に対して一貫した態度を取る必要があり,家族との連携は重要である.
✕(3) 診断は患者との関わりが十分できてから行う.告知は,患者が望んでいるかを見極めなければならない.
✕(4) 社会的に容認できない行動に対しては,すぐに介入して問題点をその場で指摘し,行わないように忠告する.
✕(5) 電気けいれん療法は,うつ病による昏迷や強い自殺念慮があるときや,統合失調症の緊張病症候群に用いられることがある.パーソナリティ障害には適応がない.
正解 : (1)
【解法の要点】
それぞれのパーソナリティ障害とその特徴をこの機会に確認しておこう.
【解説】
✕(1) 依存性パーソナリティ障害とは,自分の信頼できる人に多くの注目と世話を期待して,著しい依存をみせ,主体性のない振る舞いをすることが特徴である.嗜癖は,やめることのできない有害な習慣であり,物質依存症,摂食障害等で認められる.
◯(2) 演技性パーソナリティ障害は,自己の感情を誇張して表出し,他人の影響を受けやすく(被暗示性),絶えず自分が注目や称賛の的となるように振る舞うのが特徴である.
✕(3) 回避性パーソナリティ障害は,内心は密接な対人関係を求めていながら,他者の批判や拒絶を気にするあまり,他者との関わりを避けることを特徴とする.
✕(4) 統合失調質パーソナリティ障害とは,社会的関係への関心のなさ,人との関わりが苦手で孤独を選ぶ傾向,そして感情的な平板さを特徴とする障害である.シゾイドパーソナリティ障害ともいう.攻撃性は非社会性パーソナリティ障害の特徴である.
✕(5) 非社会性パーソナリティ障害は,他者の権利や感情を無神経に軽視し,モラルが欠如しており,人に対しては不誠実で欺瞞に満ちた行動をする傾向があるのが特徴的である.几帳面は強迫性パーソナリティ障害の特徴である.
正解 : (2)