【解法の要点】
変形性膝関節症は関節症の中で最も多く,中高年者に発症する特発性と,外傷や関節炎など何らかの膝疾患に引き続いて発症する続発性のものがある.
【解説】
◯(1) 滑膜は肥厚する.
✕(2) 骨囊胞が出現する.
✕(3) 軟骨下骨は硬化するが,肥厚はしない.
✕(4) 軟骨の変性・菲薄化に伴い,関節裂隙は狭小化する.
✕(5) 関節裂隙の狭小化に伴い,近接した靭帯は弛緩する.
正解 : (1)
【解法の要点】
原因が明確でないものは一次性変形性関節症に分類され,何らかの疾患・病態に続いて発症するものは二次性変形性関節症に分類される.
【解説】
✕(1) ボタン穴変形は,関節リウマチを背景とした,手指PIP関節の屈曲,DIP関節の過伸展による二次性の変形性関節症である.
✕(2) Charcot関節は糖尿病などの基礎疾患を背景とした二次性の変形性関節症である.痛覚,深部感覚などの体性感覚の障害により,関節の過負荷を自覚しにくくなる結果,関節を酷使して,関節破壊と高度な変形を生じる.
◯(3) Bouchard結節は,指のPIP関節に生じる一次性の変形性関節症である.Heberden結節に合併する場合もある.
◯(4) Heberden結節は,指のDIP関節に生じる一次性の変形性関節症である.中年以降の女性に好発する.
✕(5) スワンネック変形は,関節リウマチを背景とした,手指PIP関節の過伸展,DIP関節の屈曲による二次性の変形性関節症である.
正解 : (3),(4)
【解法の要点】
変形性関節症に関する基本的な問題.変形性関節症は進行に伴い,骨棘や骨囊胞の形成,関節変形を生じ,疼痛と関節可動域制限を来す疾患である.
【解説】
✕(1) 加齢の影響を受け,中年期以降に好発する.
✕(2) 関節軟骨・軟骨下骨層の変性により,疼痛,可動域制限,関節の破壊・変形,やがては拘縮を来す.滑膜炎から軟骨の変性に至るのは関節リウマチである.
◯(3) 我が国では,発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼,臼蓋形成不全)などに続発する二次性が多い.一次性(原因不明のもの)は欧米に多い.
✕(4) 膝関節では中年期以降40歳以上)の肥満女性に好発する.
✕(5) 変形性関節症の発症要因としては,加齢,肥満,性別,荷重,外傷や力学的ストレスに加え,遺伝的素因も挙げられる.
正解 : (3)
【解法の要点】
変形性膝関節症は関節軟骨の変性を基盤とした,非炎症性の疾患である.日本では内側型OAが多い.よくみられる疾患だけに,今後も多岐にわたっての出題が予想される.
【解説】
✕(1) 中年期以降の肥満女性に好発する.
✕(2) 非炎症性の疾患である変形性膝関節症の関節液は淡黄色〜透明である.化膿性関節炎などの関節液は混濁している.
✕(3) 内反変形には外側にウェッジ(外側を高くする)をつけた足底板を使用する.
◯(4) 疼痛は運動時痛が多く,特に運動開始時や階段昇降時にみられる.運動時,膝関節にストレスが生じ疼痛を誘発する.
✕(5) 内側の関節裂隙が狭小化することが多い.
正解 : (4)