【解法の要点】
持久力トレーニングは代謝,循環,呼吸機能などに影響を与えるため,その効果指標について理解する.
【解説】
✕(1) 全身持久力トレーニングによって,運動耐容能が向上し最大心拍出量増大を認める.
✕(2) 全身持久力トレーニングにて,末梢血管が開き,末梢での酸素供給を潤滑なものにする.末梢血管が開くということは,末梢血管抵抗は低下する.これにより高血圧リスクを低下させる.
◯(3) 呼吸・循環機能が改善すると,最大酸素摂取量は増加する.運動負荷テストで徐々に運動負荷を強くすると酸素消費量は増えていくが,ある程度まで運動負荷が上がると,酸素消費(取り込み)量が頭打ちになる.最大酸素摂取量とはこの値のことで,肺からの酸素の取り込み,心臓などの循環機能などが影響する.
◯(4) 同じ運動強度で比較すると,循環・代謝効率の改善のため換気量は減少する.
✕(5) 全身持久力トレーニングによって,呼吸循環系の能力が高まり,好気性代謝が盛んになる.このため,嫌気性代謝閾値(AT)が出現する運動強度は上昇する.
正解 : (3),(4)
【解法の要点】
持久力トレーニングは代謝,循環,呼吸機能などに影響を与えるため,その効果指標について理解する.
【解説】
✕(1) 全身持久力トレーニングによって,安静時と運動時それぞれの心拍出量増大を認める.
✕(2) 全身持久力トレーニングによって,骨格筋内での酸素の利用効率を高めるため,骨格筋毛細血管密度は増大し,筋線維当たりの毛細血管数が増加する.
✕(3) 全身持久力トレーニングによって,呼吸循環系の能力が高まり,好気性代謝が盛んになる.このため,嫌気性代謝閾値(AT)は上昇する.
✕(4) 骨格筋の酸素の利用効率が高まるため,動静脈酸素含有量格差は開大する.
◯(5) 全身持久力トレーニングによって,同じ運動強度で比較すると,循環・代謝効率の改善のため換気量は減少する.
正解 : (5)
【解法の要点】
運動強度を増加させるときの,生理的な変化を理解する.激しい運動を行うと,換気量が増え,血圧が上昇し,心拍数および心拍出量が増え,筋への血流量が増える.そのため腎臓や肝臓,腸管などの血流量は減少するが,脳血流量は常に一定に保たれている.
【解説】
✕(1) 心拍数上昇は交感神経活動の亢進による.運動時は代謝の低い器官や機能を一時停止してもよい器官(脾臓,腎臓,皮膚,腸管など)に,交感神経である血管収縮神経が作用して単位時間当たりの血液量が減少する.
✕(2) 冠動脈への血流は安静時に200mL/分,運動時に1,250mL/分程度であるが,心拍出量も安静時には5L/分なのに対し運動時には25L/分まで増加する.そのため,血流配分率はほとんど変化しない.血流配分率が大幅に増加するのは骨格筋・皮膚である.
◯(3) 運動強度が増加すると,静脈血酸素含量は減少するが動脈血酸素含量は変わらない.これにより動静脈酸素較差は増加する.
✕(4),(5) 低負荷強度の運動時の心拍出量増加は主に一回拍出量や動静脈酸素較差が増加することによる.運動強度が上がるに従い,一回拍出量は最大酸素摂取量の40%程度まで増加するが,それ以降はプラトーに達する.高負荷強度の運動時の心拍出量の増加は心拍数の増加に依存する.
正解 : (3)
【解法の要点】
運動による疲労時には,筋内で酸素を用いてATPをつくり出すことが難しくなる.嫌気性代謝が亢進し,乳酸が蓄積され,アシドーシスとなる.
【解説】
✕(1) ATPは,好気性代謝におけるTCA回路,嫌気性代謝である解糖系において産生され,エネルギー源として運動時に消費される.
◯(2) 嫌気性代謝では,ピルビン酸から乳酸が産生される.
✕(3) グリコーゲンは肝臓と筋に貯蔵されており,筋の収縮には筋グリコーゲンを分解してエネルギー源とする補充経路(解糖系)がある.グリコーゲン分解の際に乳酸が生成されるため,筋疲労時には乳酸などの代謝産物の蓄積や筋グリコーゲンの枯渇などによって筋収縮が困難となる.
◯(4) 乳酸が大量に産生されると,水素イオンが増加しアシドーシスを来す.
✕(5) クレアチンは筋内でATPと結合してクレアチンリン酸,ADPを産生するが,この反応はATP濃度が高いとき,すなわち好気性代謝にて起こる.基本事項 参照.
正解 : (2),(4)
【解法の要点】
好気性代謝について,中間生成物を覚えているかを問う問題である.
【解説】
✕(1)~(3),(5) 好気性代謝物質はTCA回路(クエン酸回路,クレブス回路)におけるATPが産生される過程で生成される.
◯(4) 嫌気性代謝の過程で生成される.ピルビン酸は好気性条件下ではアセチルCoAを生成しクエン酸回路へとつながるが,嫌気性条件下ではピルビン酸から乳酸が生成される.
正解 : (4)
【解法の要点】
低下すると「身体機能の改善」になるものを考えれば正解を得られるだろう.
【解説】
◯(1) 持続的な運動は糖質だけでなく中性脂肪もエネルギー源とするため,低下する.
✕(2) 骨格筋内での酸素の利用効率が高まるため,骨格筋毛細血管密度は増大し,筋線維当たりの毛細血管数が増加する.
✕(3) 呼吸・循環機能の改善により,最大酸素摂取量は増加する.
✕(4) 継続的な有酸素運動はインスリン感受性を上昇させ,血糖値を下げる.
✕(5) ミトコンドリアは,細胞内のエネルギー産生器官であり,糖や脂肪酸からATPを合成する.継続的な運動により,筋内ミトコンドリア量は増大する.
正解 : (1)