【解法の要点】
上腕骨骨幹部骨折では橈骨神経が障害されやすい.骨折部位による合併しやすい神経障害,運動障害,変形もあわせて整理しておこう.
【解説】
✕(1) 腋窩神経障害は,肩関節脱臼に合併しやすい.
✕(2) 肩関節脱臼や上肢の外転・外旋で腕のつけ根辺りで圧迫,または牽引されることで筋皮神経障害を来す.
✕(3) 尺骨神経障害は,上腕骨外顆骨折で合併しやすい.
✕(4) 正中神経障害は,上腕骨顆上骨折で合併しやすい.
◯(5) 解法の要点 参照.
正解 : (5)
【解法の要点】
臨床症状と画像所見から,変形性膝関節症と診断できる.変形性膝関節症では,疼痛,可動域制限,腫脹,関節変形などがみられる.進行度にかかわらず,保存療法が第一選択となり,減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導,筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法,装具や足底板などの装具療法,鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる.
【解説】
✕(1) CPM(continuous passive motion)を用いた持続的な他動的関節可動域訓練は,膝関節疾患の術後の膝関節可動域の改善を目的に実施する.本症例のように軟骨の摩耗が進んでいる状態でCPMによる関節可動域練習を行うと,さらに症状を悪化させる可能性がある.
◯(2) 大腿を固定して脛骨を遠位に伸張させることで,膝関節の関節裂隙を広げながら,大腿四頭筋,ハムストリングスのストレッチを行うことができる.関節可動域訓練になる.
✕(3) 患部の疼痛を引き起こすような負荷は過負荷である.
✕(4) 両サイドにジョイントのついた動的膝装具を使用することで,膝の安定性を改善し,内側への負荷を軽減することができる.
✕(5) 連続ギプス法は,3~5日ごとに5~10°分の矯正位を強めたものに順次交換していく方法である.強固に持続伸張を行うことはできるが疼痛を伴う.上肢に利用されることがあるが,ごくまれである.屈曲・伸展両方向に制限のある本症例では,不適切である.
正解 : (2)
【解法の要点】
大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折は,骨粗鬆症により骨が脆弱になった高齢女性に好発する.転倒で生じることが多い.
【解説】
✕(1) 股関節打球は,高所からの転落や交通事故などの高エネルギー外傷によって生じ,後方脱臼が多い.単純エックス線画像では,後方脱臼の場合は大腿骨頭が寛骨臼の後方に転位する.本症例では,脱臼はみられない.
✕(2) 大腿骨頸部骨折は高齢女性の転倒により好発するが,本症例では,頸部に骨折線はみられない.
✕(3) 大腿骨骨頭骨折は,高エネルギー外傷による股関節脱臼に伴って発生することが多い.栄養血管の損傷に伴う骨壊死が生じやすい.本症例では,大腿骨頭に骨折線はみられない.
✕(4) 大腿骨転子下骨折では,小転子5cmまでに骨折線が存在するが,本領例では転子下に骨折線はみられない.
◯(5) 解法の要点 参照.
正解 : (5)
【解法の要点】
骨壊死には症候性(外傷や塞栓症などによる血流途絶が原因)と特発性(明らかな誘因がない阻血性壊死)がある.血行不良のため骨折後の再生が困難となる大腿骨頭,大腿骨顆部,上腕骨頭,上腕骨小頭,手舟状骨,距骨などは症候性骨壊死を起こしやすい.
【解説】
◯(1) 距骨表面の75%は関節軟骨で覆われているため,骨折で血行障害となり,壊死・偽関節・関節症性変化による機能障害を残すことが多い.距骨頸部骨折では,距骨体部の阻血性壊死が起こりやすい.
✕(2)~(5) 骨折しても血流が保たれるため骨壊死を起こしやすいということはない.
正解 : (1)
【解法の要点】
疲労骨折はスポーツ障害の一つで,健常な骨に対して同一部位に繰り返し外力が加わることで骨折に至るものである.好発部位は,腰椎が半数以上を占める.腰椎を除いては,中足骨35%,脛骨27%,肋骨12%,腓骨9%,尺骨・大腿骨・足関節内果は各3%となっている.
【解説】
✕(1) 中足骨に次いで多い.脛骨疲労骨折はランナーに多い.
✕(2) 骨盤疲労骨折の頻度は少ない.
✕(3) 腰椎の次に多い.第2および第3中足骨骨幹部に好発し,陸上競技などスポーツ障害として生じる.行軍骨折ともよばれる.
✕(4) 腓骨疲労骨折はランナーに多い.
◯(5) 腰椎における疲労骨折は,腰椎分離症と呼ばれる.腰部の繰り返しのスポーツ動作によるストレスで起こる関節突起部の疲労骨折であり,疲労骨折の半数以上を占め,最も多い.
正解 : (5)
【解法の要点】
人工股関節置換術後の脱臼を防ぐための肢位・動作について問われている.人工股関節置換術の術後禁忌肢位は手術のアプローチ方法によって異なるため,注意すべき運動方向も異なる.後方アプローチでは,股関節の過屈曲,内転,内旋は禁忌となる.
【解説】
✕(1),(5) 右股関節が過屈曲しており脱臼のおそれがある.
◯(2) あぐら肢位では脱臼のリスクは低い.
✕(3) 右股関節の内旋が加わっており脱臼のおそれがある.
◯(4) ソックスエイド,リーチャーなどの自助具を使って靴下を着脱することは適切である.
正解 : (2),(4)