【解法の要点】
本症例は,右手の母指にしびれが出現していることより,デルマトームからC6が障害されていることがわかる.筋肉の支配神経高位は,脊髄損傷におけるASIAの機能障害スコアのkey muscleを思い出しながら,正解を導き出したい.
【解説】
✕(1) 三角筋は,主にC5神経根の支配である.
✕(2) 上腕三頭筋は,主にC7神経根の支配である.
✕(3) 上腕二頭筋は,主にC5,6神経根の支配である.
✕(4) 尺側手根屈筋は,主にC7,8神経根の支配である.
◯(5) 長橈側手根伸筋は,主にC6神経根の支配であり,症状と支配領域が一致する.
正解 : (5)
【解法の要点】
毎年頻出の問題であるため,必ず解答できるようにしたい.また,すべてのテストがどの疾患の鑑別に有用であるかということも併せて理解しておくこと.
【解説】
✕(1),(4) Apleyテスト,McMurrayテストは半月板損傷で陽性となる.
✕(2) Patrickテストは,仙腸関節,股関節のストレステストであり,痛みが誘発されれば同部位の変性疾患や炎症を示す.
✕(3) Thomasテストは,股関節伸展制限の有無を評価し,股関節屈曲拘縮の程度を判断するテストである.
◯(5) 大腿神経伸張テストは,L2~4神経根障害で陽性となる.坐骨神経へつながる下位の椎間板ヘルニアでは,下肢伸展挙上(SLR)テストが陽性となる.
正解 : (5)
【解法の要点】
ミオトーム,デルマトームの関係を押さえておく.足関節の底屈ができず,下腿三頭筋の筋力低下が考えられる.これはS1の神経根障害に相当し,デルマトームから解答を導く.
【解説】
✕(1) L3領域である.
✕(2),(3) L4領域である.
◯(4) S1領域である.
✕(5) L5領域である.L5神経根障害では,下腿外側から足背にかけての知覚異常を伴う.
正解 : (4)
【解法の要点】
腰椎椎間板ヘルニアなどの腰痛症に対する理学療法の主なものとして,William体操という体幹屈曲方向への運動や,McKenzie体操という体幹伸展方向への運動があげられる.前者は腰椎椎間板ヘルニアの急性期には髄核を後方に押し出す可能性があるため禁忌となるが,本問では,保存療法後であるため禁忌とはならない.腰椎の可動性,周囲筋の筋力トレーニングにおいて支持性を高める動作を選択する.
【解説】
◯(1) 四つ這い位での下肢伸展運動は,大殿筋や体幹筋のトレーニングとなる.
◯(2) 腸腰筋が短縮すると過度な腰椎前弯を誘発する.伸張により腰椎アライメントが悪化しないようにする.
◯(3) 骨盤の前後傾運動は,腰椎の前弯の増強減弱に影響する.ゆっくり行うことで腰椎の可動性を無理なく獲得させる.
✕(4) 側臥位は背臥位に比べると椎間板内圧が高いとされているため,背臥位を指導する.
◯(5) パピーポジションとは,肘支え上体起こしの姿勢であり,McKenzie体操にも含まれる.腰椎前弯を強める方向にストレッチすることとなる.
正解 : (4)