【解法の要点】
杖は患者の状態に合わせて適切に処方する必要がある.患者に合った杖を正しく使用しないと転倒につながるため,基本的な知識は押さえておく.
【解説】
✕(1) 松葉杖は,杖自体が長く腋窩に挟んで使用するため,杖の操作時に体幹が屈曲位になりやすい.ロフストランド杖は,前腕支持カフとグリップで支持し,免荷率も松葉杖より低い.松葉杖と比較すると歩行時の自然な腕振りが再現でき,体幹を伸展位に保持しやすい.
◯(2) 松葉杖の脇当て位置は腋窩から2~3横指下である.
✕(3) 肘関節は20~30°屈曲して握り手を把持する.
✕(4) 松葉杖での階段昇降は,昇段時は「非障害側→杖→障害側」,降段時は「杖→障害側→非障害側」の順である.松葉杖が使用者よりも上に位置する瞬間はない.
✕(5) 両松葉杖では患側下肢の完全免荷が可能である.
正解 : (2)
【解法の要点】
杖先の位置・握り手の高さは,松葉杖・ロフストランド杖にも応用が利く.松葉杖の高さは腋窩に2〜3横指の隙間ができる高さとする.
【解説】
✕(1),(2),(4),(5)
◯(3) 杖先は足先外側端から前方へ15cm,外側15cmのところへ置く.握り手は,ほぼ大転子の高さで,肘関節を30°屈曲して握れる高さにする.
正解 : (3)
【解法の要点】
車椅子の基本寸法について,安定性,操作性を考慮した一般的な基準がある.本問では厚さ3cmのクッションを用いるため,基本寸法にクッションの厚さを考慮することが重要である.
【解説】
✕(1) 背もたれ高は腋窩高(42cm)から5~10cm引いた長さであり, 32~37cmとなる.クッションの厚さを考慮すると35~40cmとなる.
◯(2) 肘掛けの高さは肘を90°に曲げたときの高さ(18cm)に1~2cm足した長さであり,19~20cmである.クッションの厚さを考慮すると22~23cmとなる.
✕(3) シート長は座底長(40cm)から2.5~5cm引いた長さであり,35~37.5cmである.
✕(4) フットプレート・シート間距離は,一般的には下腿長の38cm近傍の長さであるが,クッションの厚さを考慮して3cm足した値となる.
◯(5) 座幅は殿幅(35cm)にゆとり2~5cmを足した長さであり,37〜40cmである.
正解 : (2),(5)
【解法の要点】
GMFCSレベルⅢで,歩行補助具を使用して歩くことは可能であるが,床上はバニーホッピングで移動していること,学校内の移動が車椅子になっていることからレベルⅣに近いと考えられる.車椅子駆動は自立しており,座位は安定していることから車椅子の設定を考える.
【解説】
✕(1) 定頸しているので,ヘッドサポートは不要である.
✕(2) 座面高は床からはい上がれる高さが好ましい.
✕(3) 車椅子駆動は自立できており,背もたれの高さは肩甲骨下端が目安である.
✕(4) リクライニング式は,座位を保てない場合や起立性低血圧があり座位がとれない場合に適用となる.
◯(5) フットサポート(フットレスト)はスイングアウト式の方が移乗しやすい.
正解 : (5)
【解法の要点】
歩行補助具を使用する目的は,①下肢への免荷,②歩行バランスの向上,③重心移動の代償である.
【解説】
✕(1) T字杖は初期には適応があるが,伝い歩きが主である状態では適切でない.
◯(2) 歩行車は体重をかけることができ,使用時の不安感も少ない.歩行能力が低い患者にも適応がある.
✕(3) 交互型歩行器は他の歩行器に比べて操作がやや難しく,方向転換に難渋する患者では円滑な取り回しができない.
✕(4) ウォーカーケインは四点杖の一種である.歩行器に似ているが,前方ではなくサイドに置いて移動する.本症例では方向転換時に不安定となるため,前方の支持が望ましい.片麻痺の患者では非麻痺側でこれを使用し,体を支持する.四点支持で,支持面積も広いため,立ち上がりなどにも非常に有効である.
✕(5) 失調症では, T字杖では不安定になってきたような初期の患者では適応がある.
正解 : (2)