【解法の要点】
代表的な統計学的手法について押さえておく.
【解説】
✕(1) 相関分析は,2つ以上の変数の関係性を表す場合に用いる.相関(関係)には,一方の変数が増加すると他の変数も増加する正の相関と,一方の変数が増加すると他の変数が減少する負の相関がある.
✕(2) 分散分析(analysis of variance:ANOVA)は,正規分布している3群以上の平均値に差があるかどうかを検定する.
✕(3) Paired-t検定(対応のあるt検定)は,治療前後の検査値の比較など2群間で変数同士が対応している場合の平均値の差を検定する.
◯(4) Kruskal-Wallis検定は,対応のない3群以上の連続変数で正規分布していない場合に用いられるノンパラメトリックな検定手法である.
✕(5) Mann-WhitneyのU検定は,2群をひとまとめにして順位をつけ,群別の順位の和を比較する検定である.2群間の比較で,正規性が確認されない場合に用いられる.
正解 : (4)
【解法の要点】
感度,特異度,陽性的(適)中率,陰性的(適)中率の意味について理解しているかが問われている.病気の有り・無し,検査の陽性・陰性を2×2表で書き,定義を確認しながら考えよう.
【解説】
✕(1) 感度のことであり,確率は80%である.
◯(2) 特異度のことであり,確率は95%である.
✕(3) 陽性的中率のことであり,確率は85%である.
✕(4) 偽陰性率のことであり,1-感度なので,確率は20%である.
◯(5) 陰性的中率のことであり,確率は90%である.
正解 : (2),(5)
【解法の要点】
疫学研究に関する知識の整理をしよう.
【解説】
✕(1) 母集団とは,調査対象となる集合全体のことである.一方で,実際の研究の対象となるのは,母集団から選び出された一部の集合であり,標本という.
✕(2) 順序尺度はI~IV期で示される病期分類など,名義尺度の性質に加えて,順序をもつ変数に用いられる.
✕(3) 名義尺度は,人種や血液型など,種類はあるが順序はない変数に用いられる.
◯(4) 要因と結果(疾病など)の両方に関連する別の要因を交絡因子という.
✕(5) Likert尺度とは,ある質問項目について,二極の範囲(当てはまらない~当てはまるなど)によって評定を求める方法である.順序尺度や間隔尺度として解釈される.比率尺度とは量的データのうち,ゼロ(原点)が決まっているものに用いる.重さや長さがこれに当てはまる.
正解 : (4)
入院患者100人の収縮期血圧を集計した標本Aの分布は,中央値や平均値の近くに測定値が集中していた.他の値より極端に小さい値が1つあり,再度確認したところ誤記入であることが分かったため,この値を除いて標本Bを作った.
標本Aに比べ標本Bの方が大きい統計量はどれか.
- (1) 分 散
- (2) 最大値
- (3) 最頻値
- (4) 平均値
- (5) 標準偏差
【解法の要点】
得られたサンプルのなかで,他の値から大きく外れた値を「外れ値」といい,本問のように誤記入や測定ミスと理由がわかっているものは「異常値」とよぶ.外れ値を除外したデータは当然,ばらつきが小さくなる.分散,偏差,標準偏差の意味を確認しておく.
【解説】
✕(1) 分散:データのばらつきの度合いを示す.偏差(データ個々の値と平均値との差)を2乗した値の平均値である.標本 Aの方が極端に小さい値がある分,ばらつきが大きいことになる.つまり分散は Aの方が大きい.
✕(2) 標本Aの極端に小さい値を除いたものが標本Bであるため,最大値は同じである.
✕(3) 最頻値:データ群や確率分布で最も頻繁に出現する値で,中央値や平均値の近くに測定値が集中している標本Aと標本Bでは同じと考えられる.
◯(4) 極端に小さい値を除いた分,平均値は標本Bの方が大きくなる.
✕(5) 標準偏差:データのばらつきを表す数値の一つ.分散の正の平方根で表される(√分散).標本Aの方が極端に小さい値がある分,分散は大きくなるため,標準偏差も大きくなる.
正解 : (4)
【解法の要点】
陽性尤度比(ゆうどひ)は,真の陽性の確率である感度が,偽陽性の確率である「1−特異度」の何倍であるかを求めている.「陽性の」という結果がどれだけもっともらしいものであるかを知ろうとするものである.感度,特異度が高ければ陽性尤度比は高くなり,この値が5以上であれば検査法としてふさわしいと考えられている.
【解説】
✕(1) 検査的中率とは,検査陽性者のうち,実際に疾患を有する者の割合である.
✕(2) 陽性尤度比は「感度÷(1-特異度)」で,陰性尤度比は「(1-感度)÷特異度」である.この2つを足しても1にはならない.
◯(3) 陽性尤度比は「感度÷(1−特異度)」で求める.
✕(4) 値が大きい方が検査法としてふさわしいと考えられている.
✕(5) 陽性尤度比とは,「陽性の」という結果がどれだけ尤もらしいものであるかを知ろうとするものである.本肢の内容は感度である.
正解 : (3)