【解法の要点】
ヘルシンキ宣言の理念に基づき,厚生労働省で「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が規定され,医療研究を行う際の規範となっている.研究者には利用目的の明確化やインフォームド・コンセントの徹底,対象者の自己決定権の遵守,個人情報の保護などが求められている.
【解説】
◯(1) 研究背景・目的などをポスターに掲載し,積極的に対象者を募集することは多く行われる.
◯(2) 侵襲を伴う研究は,文書によってインフォームド・コンセントを受ける必要がある.侵襲を伴わない研究に関しては,必ずしも文書によるインフォームド・コンセントは必要としないが,口頭によってインフォームド・コンセントを受け,説明の方法や内容,受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない.
◯(3) 研究者は,研究実施に伴って取得された個人情報について,漏洩などのリスクを考慮し適切に取り扱わなければならない.匿名化は個人情報保護における安全管理の方法の一つである.
✕(4) 研究者は得られたデータを安全に管理する必要があり,研究者以外も閲覧できる共有フォルダで保管することは適切でない.
◯(5) 研究対象者からの研究の同意の撤回または拒否があった場合は,すみやかに応じる必要がある.
正解 : (4)
【解法の要点】
エビデンスレベルの分類を覚えておく.エビデンスレベルはシステマティック・レビューもしくはRCTのメタアナリシスがレベルⅠで最も高い.以下の解説は, Minds診療ガイドライン作成の手引き2007に記載されている「エビデンスのレベル分類」に準じて記載する.
【解説】
◯(1) 無作為化比較試験はエビデンスレベルⅡである.
✕(2) コホート研究はエビデンスレベルIVaである.
✕(3) 症例集積研究はエビデンスレベルⅤである.
✕(4) 症例対照研究はエビデンスレベルIVbである.
✕(5) 症例報告はエビデンスレベルⅤである.
正解 : (1)
【解法の要点】
研究法からの出題である.疫学研究法について,それぞれどのような内容かを理解する必要がある.
【解説】
✕(1) 横断研究は,一時点における曝露と疾病発生との関連を,有病率を用いて調査する研究である.曝露と疾病の関連が観察されたとしても,因果関係まではわからない.
✕(2) 記述的研究は,集団における疾病の頻度と分布を人・時間・場所の面から客観的に記述し,疾病の発生要因について仮説を立てることであり,疫学研究の第1段階である.
◯(3) コホート研究は,特定の要因への曝露群と非曝露群を長期間観察することで,要因と疾病の関連性を調べる研究である.
✕(4) 症例対照研究は,症例群と対照群に分け,両群の過去の曝露状況を比較する研究である.
✕(5) 無作為化比較試験は介入研究であり,介入群と対照群を無作為に分け,実験的な予防・治療・介入を受ける介入群と受けない対照群とで両群のアウトカムの比較により評価を行う研究である.
正解 : (3)
【解法の要点】
臨床研究は観察研究,介入研究,二次研究に大別される.介入研究(実験疫学)は,調査対象に対して何らかの働きかけを実施してその影響を検討するもので,臨床試験や地域研究がこれに含まれる.
【解説】
✕(1) 観察研究のうち縦断研究のことである.
✕(2) 観察研究のことである.
◯(3) 通常の診療行為であっても,割付群間比較を行う研究を介入研究という.本選択肢は一見,前向きコホート研究にも思えるが,コホート研究は曝露群と非曝露群に分けられる.
✕(4),(5) 二次研究のうち,メタアナリシスのことである.
正解 : (3)