【解法の要点】
作業分析というと抽象的で何のことかわかりにくいが,作業療法を患者(利用者)に実施するうえで,「その内容がどのようなものか?」「うまくいっているのか?」を検討することと考えれば理解しやすいであろう.
【解説】
◯1 治療手段としての作業を体系的に一通り理解していないと,治療の選択肢の幅が狭まり,適切な治療が行えない.
◯2 作業療法を実施するうえで,難度の低いものから高いものへ少しずつステップアップする.このため,段階付けをする必要がある.
✕3 作業療法を実施するための作業の種類を検討する必要はあるが,材料や道具の分類は目標ではない.
◯4 作業療法を実施するうえで,患者の能力の分析も行う.
◯5 作業療法を実施するうえで,患者を取り巻く生活環境(住宅状況,家族関係など)の分析を行う.
正解 : (3)
【解法の要点】
作業療法における効果判定を行う際の基本的な考え方が問われている.
【解説】
✕1 再評価は,同一の尺度で行うことで比較が可能となる.
✕2 効果判定には,疾病の状態に応じて,自然回復や症状の進行の影響を考慮する必要がある.
✕3 可能な限り量的データ(間隔尺度,比例尺度)といった数値化できるデータで示す方が比較しやすい.質的データ(名義尺度,順序尺度)は判定が困難な場合もある.
✕4 結果の前後比較のみでなく,観察,面接,作業活動などから得られる情報をもとに総合的に効果判定を行う.
◯5 効果判定により効果が得られていないことが判明した場合,プログラムの再検討を考慮する.
正解 : (5)
【解法の要点】
作業分析の観察は,作業療法を始めるにあたり重要な評価方法の一つである.作業
療法士が実際の生活動作や作業の様子などを観察し,対象者への理解を深めていく.
【解説】
✕1 観察による作業分析には,観察者の主観が入らないように客観的な視点が求められる.
◯2 観察力は経験や訓練によって深まるため,観察者の経験に左右される.観察者自身の力量を自覚しておく必要がある.
✕3 認知機能評価は認知症のスクリーニングや作業効果の指標などに利用されるが,観察による評価には含まれない.
✕4 職業関連活動では,模擬動作ではなく実際の動作や職場環境に患者が適応できるかどうかなどを評価し,患者の状態に応じた復帰プログラムを提案する.
✕5 患者の病気に対する認識は,観察ではなく面接により評価する.
正解 : (2)
【解法の要点】
作業療法を実施するには,対象者を評価し,目標を設定する必要がある.作業療法の目標設定は,長期目標と短期目標が設定され,短期目標は,長期目標への経過を示すものでなくてはならない
【解説】
✕1 定性的目標に比べ定量的目標は数値化が可能であり,治療効果の評価が容易である.
◯2 長期目標では,国際生活機能分類の参加を主目標とし,社会的側面に言及する.短期目標では,活動,心身機能・身体構造の項目について期間を決めて設定する.
◯3 能力と障壁を勘案して,達成可能な目標を設定する.
◯4 参加,活動には心身機能・身体構造や環境因子,個人因子などが密接に関わっているため,目標設定を行ううえで制約条件を考慮することは重要である.
◯5 目標設定では,短期目標と長期目標に分け,到達レベルと達成時期についての設定を行う.
正解 : (1)
【解法の要点】
作業活動の分析する項目を列挙するのは抽象的すぎて困難だろう.作業療法として提供する活動として具体的に考えてみるとよい.例えば,「ちぎり絵」「肉じゃがの調理」それぞれにおいてどのようなことを考えなければいけないか,といったことになる.作業難易度(技能や工程),時間,道具などが思いつけばほぼ正解に至る.
【解説】
◯1 作業活動に必要とされる技能(紙を引きちぎる,火の取扱いなど)は,分析すべき項目の一つである.
◯2 活動遂行時に使用する道具(のり,包丁など)は,分析すべき項目の一つである.
✕3 作業耐久性は,個人の側面になり,作業活動の分析すべき項目としては適切ではない.
◯4 活動工程(紙ちぎり,皮むきなど)は,分析すべき項目の一つである.作業がいつでも中断できるものは自由度の高い(難易度を調整できる)活動工程である.
◯5 活動に要する時間(一区切りできる時間・完成までの時間など)は,分析すべき項目の一つである.
正解 : (3)