【解法の要点】
ICF(国際生活機能分類)についての基本的知識を問う問題である.
【解説】
◯1 ICFとICD-10はいずれもWHO国際分類ファミリー(WHO-FIC)の中心分類の一つであり,相互補完的な関係がある.
✕2 背景因子の一つである環境因子には,社会的環境として人々の社会的な態度による環境の特徴がもつ促進的あるいは阻害的な影響力が含まれるが,経済的要因は含まれない.
✕3 2001年にWHO(世界保健機関)によって策定された.
✕4 ICFは,大きく「生活機能と障害」と「背景因子」の2つの要素から成っている.「生活機能と障害」はさらに,心身機能・身体構造,活動と参加に分けられ,「背景因子」は環境因子と個人因子に分けられる.
✕5 ICFは,障害者のみならずすべての人を対象として,障害を「生活機能」というプラス面からみるように視点を転換した分類法である.
正解 : (1)
【解法の要点】
ICFは,障害者のみならず,すべての人を対象として,障害を「生活機能」というプラス面からみるように視点を転換した分類法である.この「生活機能」は「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3レベルに分類されたうえで,さらに「個人因子」「環境因子」の観点が加えられる.また,ICFには情報を整理するための構成として2つの部門があり,第1部は「生活機能と障害」であり,「心身機能と身体構造」「活動と参加」からなる.第2部は「背景因子」であり,「環境因子」と「個人因子」からなる.本問ではその要素のうちの「活動と参加」について問われている.活動とは,個人による課題や行為の実行のことを示し,参加とは,生活状況への個人の関与のことを示す.
【解説】
◯1 解法の要点 参照.
✕2 環境因子が変化すれば,障害の程度も変化する.
✕3 解法の要点 参照.
◯4 ICFコード分類の構成要素には,心身機能(b),身体構造(s),活動と参加(d),環境因子(e)があり,これらは共通尺度を用いて量的に評価される.
✕5 個人因子とは年齢,性別,生活歴,価値観,ライフスタイルなどであり,量的に判定できるものではない.
正解 : (1),(4)
【解法の要点】
国際生活機能分類(ICF)には,①心身機能・身体構造,②活動,③参加の分類がある.①は身体系の生理的機能(心理的機能を含む)や器官・肢体とその構成部分などの身体の解剖学的部分,②は生きるうえで必要な生活の行為(課題や行為の個人による遂行),③は社会に出て役割を果たす社会参加に関する項目(生活・人生場面への関わり)である.
【解説】
✕1 認知の機能は,「心身機能・身体構造」に含まれる.
◯2 社会生活技能は,社会生活の中でうまく人と関わり,よりよい人間関係をつくる技能であり,「活動」に含まれる.この技能をベースに,実際に社会的活動をすることは「参加」になる.
✕3 思考機能の統合は,「心身機能・身体構造」に含まれる.
✕4 社会からの隔離は,「参加」に含まれる.
✕5 生物学的なストレス脆弱性は,「心身機能・身体構造」に含まれる.
正解 : (2)
【解法の要点】
ICFの第1レベルは,心身機能,身体構造,活動と参加,環境因子という4つのカテゴリーに分かれている.第2レベルとはその中でさらに細かく分類されたものである.ただし,これらのカテゴリーをすべて覚える必要性は低いので,心身機能,身体構造,活動と参加,環境因子に分類される代表的な内容を理解しておけばよい.
【解説】
✕1 コミュニケーションは,「活動と参加」の第2レベルである.
◯2 資産は,「環境因子」の第2レベルである.
✕3 住居の入手は,「活動と参加」の第2レベルである.
✕4 人権は,「活動と参加」の第2レベルである.
◯5 福祉用具は,「環境因子」の第2レベルである.
正解 : (2),(5)
【解法の要点】
ICFは従来の障害者のみを対象にした分類と異なり,すべての人を対象として障害(マイナス面)と健康な状態(プラス面)の両面からその人の「健康状態の構成要素」を評価する分類として策定された.その「健康状態の構成要素」に影響を与える背景因子には「個人因子」と「環境因子」があり,障害を心身の問題だけでなく,物的・社会的環境の関わりからとらえるという特徴がある.
【解説】
✕1~4 個人因子に含まれる.
◯5 障害者に対する人々の態度は環境因子に含まれる.
正解 : (5)