【解法の要点】
褥瘡予防の方法として,①骨の突出部に圧が集中しないようにする,②圧を骨突起部でなく,圧に対して抵抗力の強い部分に移動させる,③長時間の圧迫を避ける,④褥瘡好発部位を観察する,⑤除圧動作を指導する,などがある.
【解説】
✕1 円座は患部周囲の圧迫(剪断力),患部への阻血,円座中心部での底着きなどのリスクが高く,適切でない.ドーナツ型をした空気室構造のゴム製のものやクッション・ファーで覆われたものなどがあるが,空気椅子用クッション,褥瘡予防マットほどには機能的な構造ではない.
◯2 正しい除圧動作を行い,体圧分散することで褥瘡を予防できる.
✕3 同一姿勢を長時間保つと褥瘡の発生につながる.
◯4 「褥瘡予防・管理ガイドライン第4版」では,尿・便失禁がある場合の褥瘡予防ケアとして,洗浄剤による洗浄後に,肛門・外陰部から周囲皮膚へ皮膚保護のためのクリーム等の塗布を行ってもよいとしている.
✕5 フットサポートを高くすると坐骨部に圧が集中し,褥瘡発症のリスクがある.
正解 : (2),(4)
【解法の要点】
褥瘡対策に関する問題である.重度認知症であり,長時間の臥床による圧迫により褥瘡が発生したと考えられる.
【解説】
✕1 患部は清潔に保つ必要がある.
◯2 低栄養は褥瘡の成因となりやすいため,摂食状況を確認する必要がある.
✕3 足部の装具は圧迫により,更に褥瘡を増やす可能性がある.
✕4 足関節の可動域訓練により,血流を改善し組織の虚血を防ぐことができる.
✕5 褥瘡は踵部だけでなく,外果や第5中足骨粗面にも発生しており,足部外側全体の圧迫を避ける必要がある.ドーナツ型クッションは,穴の部分では圧が軽減されるが,周辺部には強い圧がかかるため,褥瘡予防には使用しない方がよいとされている.足部の除圧には下腿の広い面で支えるようにする.
正解 : (2)
【解法の要点】
各症状とその要因について,基本的な事項であるので覚えておく.
【解説】
✕1 静脈血栓は,フィブリンなどの存在により血液粘稠度が高いと生じる.
◯2 起立性低血圧は,原因として自律神経障害,薬剤性,加齢,飲酒のほか,出血や脱水などの循環血漿量の低下が挙げられる.
✕3 最大酸素摂取量が増加すると運動耐容能は増加する.
◯4 褥瘡の原因の一つに低栄養状態が挙げられる.栄養状態を反映する血清アルブミン値が低下することで膠質浸透圧が下がり,浮腫が生じることで,褥瘡が起こりやすくなる.
✕5 骨への物理的応力が減ると,リモデリングのバランスが崩れ,骨吸収が優位となり,骨萎縮を来す.
正解 : (2),(4)
【解法の要点】
車椅子座位で褥瘡が起こりやすい位置は,長時間の車椅子座位をとる脊髄損傷者では坐骨部となる.臥床傾向にあり車椅子で座位となる高齢者などでは,①仙骨部(尾骨部),②肩甲骨部,③脊椎突起部,④大転子部などがあるが,車椅子乗車だけが褥瘡の原因というわけではない.
【解説】
◯1 仙骨座りは骨盤が後傾した座り方で,尾骨部の褥瘡リスクを増加させ,坐骨部は前方に移動し,せん断力や摩擦を引き起こす.
✕2 骨盤を左回旋しても,大転子は側面にあるために高い圧はかからない.
✕3 体幹を右側屈すると重心が右に偏るため,右の坐骨に高い圧がかかる.
✕4 円背姿勢では骨盤後傾し,尾骨部に高い圧がかかる.
✕5 骨盤前傾では坐骨部に高い圧がかかる.
正解 : (1)
【解法の要点】
①頸髄完全損傷,②第4頸髄機能残存,③認知機能は正常,④訪問リハビリテーション時に踵部の発赤より,頸髄損傷による下肢の麻痺が原因で,褥瘡発生の初期である踵部の発赤が生じていると考えられる.
【解説】
✕1 上位運動ニューロンの障害でみられる.頸髄損傷で起こりうるが,踵部の発赤とは関係がない.
◯2 発赤だけでも褥瘡とよぶことがわかるかがポイントである.
✕3 通常,体内における骨の形成と吸収はバランスがとれている.頸髄損傷により,立位などの抗重力位をとれないため骨萎縮は起こるが,踵部の発赤とは関係ない.
✕4 静脈血栓症が生じた場合は,下肢の腫脹を認めるが,踵部の発赤とは関係ない.
✕5 異所性骨化とは,本来骨化がみられない場所が骨化する状態である.頸髄損傷の合併症として起こり,大腿周囲(股関節,膝関節)に認めやすいが,踵部の発赤とは関係ない.
正解 : (2)