【解法の要点】
脳梗塞による左片麻痺の回復段階をBrunnstrom法で評価している.上肢の前方水平挙上において肘伸展位を保つことができないが,手を腰の後ろに動かすことはできるため,Brunnstrom法ステージはⅣとわかる.共同運動から分離が始まる段階である.
【解説】
✕1 基本的共同運動の最初の要素が出現するのはステージⅡである.
✕2 痙縮の発現期はステージⅡである.
✕3 痙縮が最強となるのはステージⅢである.
◯4 手を腰の後ろに動かすことができているため,基本的共同運動から逸脱した運動が出現しているとわかる.ステージⅣである.
✕5 分離運動が自由に可能になるのはステージⅥである.
正解 : (4)
【解法の要点】
脳卒中に対する一般的なリハビリテーションについて問われている.Brunnstrom法のステージがⅢ〜Ⅳであることに留意して,共同運動を助長せず,能力を最大限に活かせるようなものを選択すればよい.
【解説】
✕1 緊張性頸反射は生後数ヵ月で消失する原始反射であるが,脳卒中患者では出現することがある.この反射は動作の阻害因子となるので,抑制する.
◯2 下肢の荷重力が低いと歩行能力に影響するため,麻痺側下肢への荷重を意識した訓練を行う.
✕3 短下肢装具を用いて屋内歩行が可能であり,長下肢装具を使用する必要はない.
✕4 麻痺側上肢はBrunnstrom法でステージⅢであり,基本的共同運動が出現していて痙縮が最強となる.重錘を用いた運動は,共同運動を助長し痙縮を強める.
✕5 CI療法である.脳卒中片麻痺上肢に対するリハビリテーションの一つであり,非麻痺側上肢の運動を制限し,麻痺側上肢の運動を誘導しようとする治療法である.適応基準は,母指を含む3本指のIP・MP関節の伸展が10°以上可能,手関節の伸展が20°以上可能であることとされ,この症例では適応にならない.
正解 : (2)
【解法の要点】
CI療法とは,脳卒中片麻痺上肢に対するリハビリテーションの一つであり,非麻痺側上肢の運動を制限し,麻痺側上肢の運動を誘導しようとする治療法である.脳卒中ガイドラインでも推奨されている.
【解説】
✕1 一般的に重度麻痺レベルの患者は適応基準を満たさない.CI療法の適応基準は,母指を含む3本指のIP・MP関節の伸展が10°以上可能,手関節の伸展が20°以上可能であることである.長時間の集中訓練を行うため,麻痺の基準が厳しく設定されている.
◯2 非麻痺側上肢を2週間拘束し,麻痺側上肢を段階的・集中的に訓練する.
✕3 運動機能の向上は期待できるが,感覚障害の改善効果は低い.
✕4 1日5時間の訓練を実施する.
✕5 慢性期の患者にも適応可能である.
正解 : (2)
【解法の要点】
ベッドから車椅子への移乗の流れを押さえておく.臥位から座位,座位から移乗,いずれの相においても車椅子が非麻痺側に位置しているのが適切である.車椅子は患者の非麻痺側にくるようにベッドに対して斜めにつける.介助者は患者の動作の邪魔にならず,バランスを崩してもすぐに患者を支えられる前方あるいはやや斜めの位置に立ち,見守る.
【解説】
◯1 車椅子が非麻痺側に位置しており,介助者の位置も適切である.
✕2 座位から移乗の相において,車椅子が麻痺側に位置しており不適切である.
✕3 介助者が車椅子の後方にいるため,不適切である.
✕4 車椅子が麻痺側に位置しており,不適切である.
✕5 車椅子が麻痺側に位置しており,介助者の位置も不適切である.
正解 : (1)
【解法の要点】
常時2点支持歩行は,健側に持った杖を出し,患側下肢を出した後,健側下肢を出すパターンの歩行である.健側下肢が前に出るときは,常に患側下肢と杖の2点で支持しており,安定性があるため,片麻痺患者の歩行様式としてしばしば用いられる.なお,バランス保持が上達し,必要であれば交互2点1点支持歩行(健側に持った杖と患側下肢を同時に出し,次に健側下肢を出すパターンの歩行)も検討する.
【解説】
✕1~3,5
◯4 解法の要点 参照.
正解 : (4)
【解法の要点】
Brunnstrom法ステージでは次の段階を目指した訓練を行う.上肢はステージⅣを,手指はステージⅤを目指して訓練を行う.すなわち上肢ステージⅣでは,①腰の後ろに手を持っていく,②前方水平位に腕を挙上する,③肘90°屈曲位で前腕を回内・回外する段階を目指す.手指のステージⅤでは,①対向つまみ,②筒握り,③球握りがだいたいできる,動きは不器用で機能的な使用は制限されている,随意的な手指伸展は可能だがその範囲は一定しない,という段階を目指す.
【解説】
◯1 肘90°屈曲位で前腕を回内・回外する動作なので適切である.
✕2 机の上からでは上肢ステージⅢでも触ることが可能である.ステージⅣを目指すには背中の方に持って行く動きを練習する.
✕3 口元に近づけることは上肢ステージⅢでも共同運動パターンにより可能である.
✕4 上肢の屈曲挙上を伴う動作であり,上肢ステージⅤの動作にあたる.
✕5 側方挙上が可能となるのは上肢ステージⅤであり,まだこの段階ではない.
正解 : (1)