【解法の要点】
Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢは,日常生活はなんとか自立しているが,歩行障害・姿勢保持反射障害がみられ,日常生活に一部介助が必要となる状態である.作業療法では,粗大運動中心の作業を行う.
【解説】
✕1 上方へのボール入れは,肩甲帯周辺および肩関節可動域の拡大や,体幹を伸展した立位姿勢の促進に効果的である.
✕2 階段昇降訓練は,日常生活動作の維持に有効である.Parkinson病では逆説性歩行があるため,傾斜路や平地よりも歩きやすい場合もある.階段は昇りよりも降りる方が困難となるが,ステージⅢでは可能である.
✕3 上方・側方間のコーン移動は,座位バランスや肩甲帯周辺および肩関節可動域拡大,反復動作の促進などに有効である.
✕4 セラピストとのボールの受け渡しは,受け渡しのリズムを用いた反復動作の促進や,座位を保持した状態で両上肢を使用するバランス能力の維持に有効である.
◯5 ろくろでの茶碗作りは,手指の巧緻性や上肢の協調性向上を目的に行う.Parkinson病では,手元の巧緻動作よりも体幹の屈伸・回旋や,肩周囲の粗大な動きにアプローチすべきであり,優先順位は低い.
正解 : (5)
【解法の要点】
Parkinson病のHoehn&Yahrの重症度分類について,問題文の記述から考察する.姿勢反射障害,小刻み歩行を伴う歩行障害があるもののADLは自立していることから,ステージⅢと考えられる.
【解説】
✕1 ステージⅠは,片側のみの症状がみられる.軽症で機能障害はない.
✕2 ステージⅡは,両側の症状がみられるが,バランスへの障害はない.
◯3 ステージⅢは,歩行障害・姿勢保持反射障害がみられる.ADLに一部介助が必要となるが自力での生活は可能である.
✕4 ステージⅣは,ADLに介助を必要とし,自力のみによる生活は困難である.まだ支えられずに立つこと,歩くことはどうにか可能である.
✕5 ステージⅤは,寝たきりあるいは車椅子で全面的に介助を要する状態である.
正解 : (3)
【解法の要点】
Parkinson病のHoehn &Yahrの重症度分類ステージⅢは,歩行障害・姿勢保持反射障害を認め,日常生活は自立可能であるが一部介助を必要とする状態である.
【解説】
✕1 歩行中の方向転換は困難であり,直線的ではなく大きく曲がるように指導する.
✕2 姿勢反射障害があるため,歩行時に体幹を屈曲すると転倒のリスクがある.
✕3 姿勢保持反射障害はあるが歩行は可能である.歩行能力の維持に努め,この段階で車椅子を使用するのは時期尚早である.
◯4 Parkinson病の患者は,何らかの外部刺激(視覚やリズム)があると,すくみ足が改善され歩行のリズムが整うことが多い.
✕5 足関節に重錘バンドを装着する歩行練習は,運動失調に対して用いられることが多い.
正解 : (4)
【解法の要点】
Parkinson病の重症度別の作業療法に関する問題.Hoehn &Yahrの重症度分類のステージⅢでは,姿勢保持反射障害が出現し,ADLは一部介助により何とか可能な段階で,歩行障害に対するアプローチが求められる.自助具や環境設定,家屋改造が適応となるのは,ステージⅣからである.
【解説】
◯1 メトロノームなどのリズム音刺激はParkinson病の歩行障害を改善する.
✕2 姿勢保持反射障害がみられるものの,立位や座位の保持,歩行は可能である.
✕3 姿勢保持反射障害が出現しているので,危険である.
✕4 ユニバーサルカフは指の屈曲の障害,ものが掴めない・握れないなどの動作を補助する自助具である.ステージⅢでは適用はない.
✕5 ポータブルスプリングバランサーは,上肢の麻痺や上肢を支える筋力が著しく低下したときに腕を支える補助力となる自助具である.ステージⅢでは,まだ必要ない.
正解 : (1)
【解法の要点】
Hoehn-Yahr重症度分類ステージⅢは,軽~中等度のパーキンソニズムと姿勢保持反射障害を認める状態である.転倒防止において住環境整備は重要な要素である.
【解説】
◯1 姿勢保持反射障害があるため,段差の解消は重要である.
◯2 手すりの設置により,転倒防止につながる.
◯3 開き戸の開閉は姿勢保持反射障害がある患者にとっては転倒の原因となりやすいため,引き戸の導入は転倒防止につながる.
◯4 布団と比較してベッドの方が移動の負担が小さく,転倒のリスクが小さい.
✕5 毛足の長いじゅうたんはつまずきやすく,転倒の原因となる.
正解 : (5)