【解法の要点】
股関節の屈曲・内転が正常であることから,L2の機能が残存している.また股関節の外転が作用し始めていることから,L4までの機能の残存が期待できる.Sharrardの分類において,短下肢装具を用いて杖歩行が可能となるのはL4の機能が残存しているⅢ群である.
【解説】
✕1 Ⅱ群では機能残存レベルがL1~2である.大腿四頭筋,大内転筋が機能しない.
◯2 Ⅲ群では機能残存レベルがL3~4である.L4では大腿四頭筋が機能するため,短下肢装具を使用し歩行可能である.
✕3 Ⅳ群では機能残存レベルがL5である.前脛骨筋は機能するが,下腿三頭筋は機能しにくいため,足部は背屈位をとりやすく,踵足変形となりやすい.装具なしでも独歩可能である.
✕4 Ⅴ群では機能残存レベルがS1~2である.装具なしで歩行可能である.
✕5 Ⅵ群では機能残存レベルがS3である.装具は不要である.
正解 : (2)
【解法の要点】
Hoffer分類とSharrard分類と,各分類を対応させて覚えておく必要がある.Hoffer分類では,独歩(CA:community ambulator),屋内歩行(HA:household ambulator),訓練レベル(NFA:non-functional ambulator),歩行不能(NA:non ambulator)に分類する.Sharrard分類は残存レベルに応じたⅠ~Ⅵ群の分類で,Ⅰ群が最も残存機能は少ない.Hoffer分類のCAはSharrard分類のⅢ~Ⅵ群に相当する.
【解説】
✕1 NA(歩行不能)に相当する.移動にはすべて車椅子が必要である.
✕2 NA(歩行不能),NFA(訓練レベル,訓練時では杖歩行で,その他は車椅子を使用)に相当する.一部,HA(屋内歩行)に相当する.
◯3 Hoffer分類におけるCA杖歩行群は,Sharrard分類Ⅲと合致する.
✕4,5 CA(独歩群)に相当する.Ⅳ群では,短下肢装具(AFO)が必要となるが,屋外,屋内とも歩行可能である.
正解 : (3)
【解法の要点】
股関節の屈曲が可能であることから,L2の機能が残存している.このことから,L2まで機能温存されているものをSharrardの分類にあてはめて考える.
【解説】
✕1,3〜5
◯2 Ⅱ群はL1,2.
正解 : (2)
【解法の要点】
Sharrardの分類は二分脊椎の麻痺レベルの評価基準である.分類ⅠはT12レベルで,下肢筋はすべて麻痺している.このレベルの歩行・移動能力は車椅子が実用的で,骨盤帯付き長下肢装具の利用で訓練レベルの歩行は可能である.
【解説】
◯1 下肢筋の麻痺があるため,移動訓練は骨盤帯がついている交互歩行装具(RGO)が必要である.
✕2 Sharrard分類Ⅰでは,骨盤帯がない長下肢装具では歩行が難しい.ⅢのL3レベルで長下肢装具と杖で移動訓練が可能である.
✕3 Sharrard分類Ⅰでは短下肢装具での歩行が難しい.ⅢのL4レベルで短下肢装具での自立歩行が可能である.
◯4 下肢筋が麻痺しているため,実用的な移動手段として車椅子を使用するので,車椅子の訓練が必要である.
✕5 T字杖は実用歩行可能レベルでバランス機能に低下がみられる場合に用いる.Sharrard分類Ⅰでは実用的な歩行は難しいため,適切ではない.交互歩行装具(RGO)に合わせる杖としても,両ロフストランド杖が適切であろう.
正解 : (1),(4)