【解法の要点】
関節リウマチに関する基本的な問題である.症状と治療について押さえておこう.
【解説】
✕1 温熱療法は,関節を温めることにより炎症を抑えて,こわばりや痛みを軽減させる効果がある.水治療法として渦流浴があるが,感染症対策(レジオネラ菌)により最近は利用機会が減っている.手の温熱療法ではパラフィン浴が用いられる.
✕2 朝のこわばりが生じやすいため,午前中の家事は避けた方がよい.
◯3 腫脹している部位を押すと痛みを感じるのが特徴である.リウマチの活動性指数を評価するDAS28でも,腫脹関節数,圧痛関節数,炎症反応,VAS(痛みの強さの程度)で評価している.
✕4 関節痛の軽減,関節の固定・支持,弱化した筋力の補助,関節変形予防のため,積極的に装具を使用する.
✕5 非ステロイド性抗炎症薬は抗炎症・鎮痛作用を発揮する.ただし関節リウマチの進行を抑制することはできない.
正解 : (3)
【解法の要点】
関節リウマチのSteinbrocker分類のstageⅡ,class2であり,手指など小さな関節に負荷をかけない,関節にかかる力を分散させる,変形の進みやすい向きでの荷重をかけない,などのように関節を保護した日常生活活動を送るように注意しなければならない.関節保護の観点から,正解肢を選ぶ.
【解説】
✕1 蓋などを開閉する場合は,手掌全体でつかんで開けるようにする.積極的にボトルオープナーを使用する.
◯2 椀の底を手掌全体で保持しているため,特定の関節への過度な負担がなく適切である.
✕3 タオル,雑巾などを絞る場合は,蛇口などにかけ,中央に向けて親指方向に絞るとよい.
✕4 テーブルの上に置いて上から押すだけで使えるカスタネットばさみなどを利用する.
✕5 ポットは両手で保持し,特定の関節へ負担がかからないようにする.
正解 : (2)
【解法の要点】
関節リウマチ患者の作業療法では,疼痛の軽減,機能維持,変形予防を目標とする.生活指導のポイントとして,自助具の紹介や提供,関節保護,エネルギー保存,リウマチ体操などの自主トレーニングがある.
【解説】
✕1 膝への負担をまず減らす必要がある.作業療法としては座ってできる作業は座位で行うなどの指導が適切である.膝伸展位で固定した場合,歩行中の接地の衝撃を膝で吸収できなくなり膝への負担が増す可能性がある.クラス2の状態であれば立位・歩行時に軟性膝装具などを使用し様子をみる.
✕2 片手でフライパンを持つことは,手指や手関節に負担がかかる.両手で持つのが適切で,両手鍋の利用がなおよい.
✕3 家事をまとめて行うと関節への負担が増える.さらに,易疲労性があるため分けて行う方がよい.
◯4 等尺性収縮運動は,関節運動がないため,関節にかかる負担が低く適している.
✕5 最終域感を超えて関節可動域訓練を行うと,関節に負担がかかる.
正解 : (4)
【解法の要点】
関節リウマチの活動性の評価法は非常にたくさんある.すべて覚えるのは難しいかもしれないが,Steinbrocker(スタインブロッカー)の分類には,病期分類のstage分類と日常生活における機能障害度の分類があることは過去にも出題されている.
【解説】
✕1 Larsen分類は関節破壊に対するX線を用いたgrade分類であり,日常生活とは関係ない.
✕2 Lansbury指数は関節リウマチの活動性の指標である.
◯3 Steinbrockerの分類は日常生活における機能障害度分類であり,stage分類は病期の分類である.
✕4 DAS28(disease activity score28)はヨーロッパのリウマチ学会がつくった疾患活動性の指標である.観察対象関節は,肩関節2,肘関節2,手関節2,手指(DIP除く)20,膝関節2で合計28関節を評価する.
✕5 AIMS(arthritis impact measurement scales:関節炎影響測定尺度)は,患者自身による運動機能評価をすることで健康状態の指標にしている. 関節リウマチ患者のQOL評価法として国際的に用いられている.
正解 : (3)
【解法の要点】
関節リウマチによる能力障害と,それに対応する自助具について理解しておく.
【解説】
✕1 ソックスエイドは靴下を履くために使用する.
◯2 ドアノブレバーは,手指関節の負担を軽減するために軽い力でドアノブを回すことができる.
✕3 タオルを絞るときは,蛇口にひっかけて手関節に負担がかからないようにして絞る.ループ付きタオルはタオルの両端に輪がついており,タオルを握ることが不要で,上肢・手指に可動域制限があっても洗体が容易になる.
✕4 瓶の蓋を開けるときは,ボトルオープナーを使用する.マジックハンドは,手の届かないところの物を取ったり,引き寄せたりするときに使用する.
✕5 キーボードカバーは運動失調患者に適用がある.手関節の痛み・拘縮にはキーボード用のリストレストが有用なことがある.
正解 : (2)