【解法の要点】
深達性Ⅱ度熱傷とⅢ度熱傷では,二次損傷として関節拘縮を伴う.熱傷部位に癒着・瘢痕拘縮が起こりやすいため,熱傷部位と近い関節については,熱傷部位が伸展されるようにポジショニングを考慮する.手背の熱傷では,瘢痕によりMP関節伸展,DIP/PIP関節屈曲,母指伸展内転拘縮となることが予測できるため,その予防肢位を問われている.
【解説】
✕1 手関節は軽度伸展とする.
◯2 母指MP関節,第2~5指MP関節は屈曲とする.
✕3,4 PIP関節,DIP関節は伸展とする.
✕5 母指は掌側外転位(対立位)とする.
正解 : (2)
【解法の要点】
変形拘縮の予防のために,熱傷部位が伸展されるようにポジショニングを考慮する必要がある.
【解説】
✕1 前頸部の場合,頸部は屈曲よりも伸展が望ましい.
◯2 腋窩部の場合,肩関節外転にて腋窩部が伸展される.
✕3 会陰部の場合,両下肢外旋位よりも外転位が望ましい.
✕4 膝窩部の場合,膝は屈曲よりも伸展が望ましい.
✕5 足背部の場合,足指MP関節の伸展拘縮が起きやすい.また,背臥位では足関節は底屈位に拘縮しやすいため,背屈位0°に保持する.
正解 : (2)
【解法の要点】
熱傷に関する問題は,毎年出題されている.分類,急性期の対応,二次損傷の予防,植皮術後の対応について押さえておく.
【解説】
◯1 関節拘縮予防,瘢痕形成予防の目的で,受傷創,移植皮膚を損傷しないように愛護的に運動する.
✕2 瘢痕形成に対するアプローチとして,スポンジや弾性包帯などでの圧迫法がある.肥厚性瘢痕が顔面や関節部にかかる場合,しばしば拘縮を来し,機能障害の原因となる.
✕3 拘縮予防のため,急性期から装具を用いて良肢位にポジショニングを行う.
✕4 パラフィン浴は50~55℃の間に設定する.
✕5 熱傷部位が伸展されるようにポジショニングを考慮する必要があり,会陰部の場合,下肢外旋位よりも外転位が望ましい.
正解 : (1)
【解法の要点】
熱傷患者への処置の問題である.植皮術後の作業療法について考える.皮膚の生着が見込める1週間程度までは,積極的な作業療法の開始は困難である.
【解説】
✕1 まだ皮膚が生着しておらず,不適切である.弾性包帯による巻き上げ,ウレタンによる圧迫は肥厚性瘢痕・ケロイド予防に行うことがあるが,十分に生着してからになる.
✕2,3,5 まだ皮膚が生着しておらず,不適切である.動的スプリント製作は回復期から成熟期にかけて行う.
◯4 安静時の挙上は,浮腫の予防・改善目的である.
正解 : (4)
【解法の要点】
Ⅲ度の熱傷とは皮下組織までの深さの熱傷である.治癒には1ヵ月以上かかり,小さいものだと瘢痕治癒するが,植皮が必要になることもある.
【解説】
✕1,2 なるべく早く5~30分間,流水で冷やす.熱傷・炎症の進行を防ぐためである.ただし,患者が小児や広範囲な熱傷の場合は冷却によって低体温を招くおそれがあるため,過度の冷却にならないように注意する.
✕3 Ⅲ度の熱傷なので,表皮・真皮が壊死に陥る.壊死組織の温存は感染源になることがあり,除去が必要である.
◯4 深達性Ⅱ度熱傷とⅢ度熱傷では,熱傷の二次損傷として関節拘縮を伴う.熱傷部位に癒着・瘢痕拘縮が起きやすいため,熱傷部位と近い関節については,熱傷部位が伸展されるようにポジショニングを考慮してスプリントを使用する.
✕5 着衣は無理に抜去せず,着衣の上から水をかけて冷却する.
正解 : (4)