【解法の要点】
自閉スペクトラム症には,広汎性発達障害,およびその下位分類である自閉症,Asperger症候群,高機能自閉症が含まれている.社会的コミュニケーションおよび対人相互反応の障害,行動・興味・活動の限局,反復・こだわりが特徴である.
【解説】
✕1 自閉スペクトラム症では,聴覚過敏などの感覚過敏がみられることがある.
◯2 クレーン現象は,何か欲しいものなどを取ってもらいたいときに.親など保護者の手首をつかんで対象者に近づける行動である.言葉で要求を伝えられない小児(自閉スペクトラム症を含む)にみられることが多い.
✕3 注意欠如・多動性障害のほか,知的障害,発達性協調運動症,学習障害などの併存が多い.
✕4 自閉スペクトラム症では,聴覚(言葉で話す)よりも絵などの視覚に訴えたほうが指示は伝わりやすい.
✕5 「サリーとアン課題」は他者の心を推測する能力を測る課題である.定型発達であれば4~5歳頃には正解できるようになるが,同年齢の自閉スペクトラム症児では正解できないことが多い.
正解 : (2)
【解法の要点】
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)とは,相互社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害,および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴づけられる一群の障害である.作業療法を行うにあたっては,その特性を理解し配慮することが必要である.
【解説】
✕1 攻撃的な行動には,制止したうえで可能ならそのような行動をとる理由を聞いてみる.大きな声で叱責することは,本人をさらに精神的に不安的にさせるため不適切である.
◯2 作業の内容をあらかじめ伝えておくと,本人は覚えていることが多く,混乱が少なくなる.
✕3 こだわりを変えようとすると,通常本人は拒絶し,場合によっては混乱しパニック状態になることがある.まずはこだわりを許容し,本人とラポールを築いたあとに,行動を変えることを納得させたうえで徐々に受け入れさせるのがよい.
✕4 作業の自由度が高いと,本人は何をしたらよいのか見当がつかないことが多い.ある程度やることが決まっている方がスムーズに作業ができる.
✕5 広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)では,聴覚(言葉で説明する)よりも視覚に訴えた方が指示は伝わりやすいため,絵やカードを使い説明するのがよい.
正解 : (2)
【解法の要点】
運動や言動の発達に目立った問題はないが,視線が合わない,空気が読めない,特定の物事へのこだわりがあることからAsperger症候群が考えられる.本症例は,知的障害,言語発達の障害はないが,コミュニケーション能力の障害,特定の分野への強いこだわり,他者の気持ちを推測できないことが特徴的で,社会適応に問題を来す場合が多い.現在の分類(DSM-5)では,「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」に含められている.
【解説】
✕1 自閉スペクトラム症は,一般に手先は不器用である.
◯2 特定の物事へのこだわりが特徴である.生活のパターンもかたくなに守りたがる傾向がある.
✕3 特定の領域の学習が苦手なのではなく,特定の分野へのこだわりが強い.特定の領域の学習が苦手なのは学習障害である.
✕4 特定の場面で発語が困難になること(選択性緘黙)はみられにくい.
✕5 言語発達の遅れは指摘されていないが,身振りを用いるなどの非言語的コミュニケーションは苦手である.
正解 : (2)
【解法の要点】
注意欠如・多動性障害(ADHD)の基本的事項について問うている.
【解説】
✕1 男児に多い.男女比は調査によりばらつきがあるが,男児が女児の1.5~2.5倍多いと覚えておく.
✕2,低出生体重児の方が発症率が高いとの報告はあるが,「低出生体重児の多くで発症する」ことはない.
✕3,4
◯5 多動性は成人までに改善することが多いが,衝動性や不注意は持続することが多い.
正解 : (5)
【解法の要点】
不注意や多動がみられるので,注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断は容易だろう.
【解説】
✕1 気分安定薬は,双極性障害の急性期の治療とともに,再発防止や気分変動の頻度の減少に有用である.
✕2 抗うつ薬は,うつ病に対して用いられる.
✕3 抗精神病薬は,統合失調症の治療薬である.
✕4 抗不安薬は,不安や緊張の軽減を目的とする.
◯5 精神刺激薬は,注意欠如・多動性障害(ADHD)やナルコレプシーに用いられる.中枢を刺激して,注意力,集中力を上げる.
正解 : (5)