【解法の要点】
痙直型四肢麻痺で,上肢の支持があれば座位も可能であるが,介助でわずかに立位が取れるレベルの下肢・体幹の機能低下がみられる.下肢・体幹を安定させる姿勢がわかれば,消去法で正解にたどり着く.
【解説】
✕1 車椅子での椅子座位に加え体幹ベルトを用いることで安定し,両手での支持が不要となり,両手を使用しやすくなる.
◯2 床上での長座位は,骨盤後傾位で不安定な仙骨座りの状態となる.背もたれがなく,机上に置いた上肢で座位を支持しているため,両手を使用しにくい.また,下肢は伸筋群優位となり,はさみ足の抑制もされていないため痙縮が入りやすく,上肢機能の改善を図るには最も難易度が高い.
✕3 割り座ではハムストリングが伸張されることなく,骨盤後傾になりにくい.側方への安定性は長座位より増す肢位である.
✕4 座位保持装置を使用することにより,麻痺の特性に合わせてパッド,ベルト,シート形状などで椅子よりも両下肢と体幹を安定させることができる.
✕5 座位よりも立位のほうが安定性が悪いのではとイメージするかもしれないが,立位台は両足底を接地させ,下肢・体幹をやや前傾にして下位胸部までボードとベルトでしっかり固定することができる.さらにテーブルが胸部の高さにくるため,肘の支持で上肢機能改善を図るのに適している.
正解 : (2)
【解法の要点】
脳性麻痺児の発達についての問題である.腹臥位であることから,姿勢による四肢や頸部,体幹への影響を考えなくてはならない.脳性麻痺児は,各筋肉の分離した動きが困難なため,全身的な筋緊張の亢進を利用することで動作を獲得しようとする.
【解説】
✕1〜3,5
◯4 頸部に注目する.Bのように弛緩した状態から,Aのように下肢の伸展の過緊張を用い,まず従重力位での頸部伸展が可能となる.次にEでは上肢支持で体幹の挙上がわずかに可能となったあと,Cのように上肢の緊張を利用して,頸部の抗重力位伸展が少し可能になる.Dでは,頸部,体幹の抗重力位での伸展によりon elbowが可能となる.
正解 : (4)
【解法の要点】
小児の発達検査の代表的なものを押さえておく.検査の適用年齢も重要である.
【解説】
◯1 GMFM(Gross Motor Function Measure:脳性麻痺児の粗大運動能力尺度)は脳性麻痺児の運動発達の変化をとらえることを目的に考案された,粗大運動能力の評価尺度である.
✕2 Erhardt(エアハート)発達学的視覚評価は視覚の運動要素の機能と認知機能を評価する方法であり,視知覚ではなく視運動機能発達を評価する.適用年齢は小児に限らない.小児用の視知覚障害の検査としては,適用年齢が4歳0ヵ月から7歳11ヵ月であるフロスティッグ視知覚発達検査がある.
✕3 Kohs立方体組合せテストは,各面に色が塗られた立方体を組み合わせることにより知能を測定する検査で,聴覚障害者,ろう児,高齢者,6歳以上の健常児・成人に用いられる.
◯4 WISC-IV(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fourth Edition:児童用ウェクスラー式知能検査第4版)は,5~16歳11ヵ月までに適応可能な知能検査であり,学習障害の評価にも用いられる.
✕5 新S-M社会生活能力検査は,乳幼児から中学生までに適応可能な検査であり,子どもの日頃の様子をよく知る保護者や教諭が記入する.日常生活能力ではなく社会生活能力の発達をとらえる検査である.
正解 : (1),(4)
【解法の要点】
アテトーゼ型脳性麻痺児は姿勢筋緊張の動揺がみられ,姿勢や運動のコントロールが不良である.本症例は,頭部が右を向くと,右上肢は伸展位をとりやすくなることに注目する.
【解説】
✕1 BFOは肩・肘関節周囲筋が弱い場合に手を口に近づける食事動作で役に立つが,自由度が高く,自己にてコントロールする必要がある.ATNRが出現している本症例では右上肢を動かすときに伸展を助長することにつながってしまい不適切である.
◯2 テーブルは肘の高さより高くする.食器から口までの移動距離を短くする方が食事動作は安定しやすい.
✕3 頭部は右を向きやすく,利き手が右であっても,右側に皿を置くと異常反射を増強させることになるため,正中位に置き訓練を行う.
✕4 物を持続的に把持する能力が低いため,スプーンは柄が細いものではなく太いものを選ぶ.
✕5 座位保持装置のティルティングとは,座面と背面の角度を一定に保持した状態で支持部全体を傾けることであり,姿勢は安定しても,食事動作は困難になる.
正解 : (2)
【解法の要点】
連合反応とは,痙直型麻痺児の運動でみられる緊張性姿勢反射の一つである.随意運動の際に,その運動に関与していない四肢・体幹に痙直の増強が生じる反応である.努力性の運動や精神的緊張により誘発されやすい.上肢の筋緊張の亢進では,肩関節屈曲・内転・内旋,肘関節屈曲,前腕回内,手関節掌尺屈,手指屈曲を誘発する.
【解説】
◯1 肩甲骨は挙上する.
✕2 肩関節は屈曲・内転・内旋する.
✕3 肘関節は屈曲する.
✕4 前腕は回内する.
✕5 手関節は掌尺屈する.
正解 : (1)