【解法の要点】
いずれも内喉頭筋であり,内喉頭筋は一つを除いて反回神経支配である.迷走神経の一部は,胸部をいったん下行してから血管の下側を回って再び上行する.これを反回神経という.反回神経は気管・食道・心臓に枝を出した後,喉頭下部の粘膜および内喉頭筋に分布し,声帯の動きなどを司る.
【解説】
◯(1),(2),(4),(5) 内喉頭筋には,輪状甲状筋,後輪状披裂筋,外側輪状披裂筋,横披裂筋および斜披裂筋,披裂喉頭蓋筋,甲状披裂筋がある.輪状甲状筋を除いて反回神経支配である.
✕(3) 輪状甲状筋は迷走神経の枝である上喉頭神経に支配される.内喉頭筋のなかで唯一反回神経支配ではない.
正解 : (3)
【解法の要点】
筋皮神経は腕神経叢上部(C5~6)由来の神経であり,主に上腕屈筋を支配していることを押さえておく.
【解説】
✕(1) 肘筋は橈骨神経支配である.
✕(2) 棘下筋は肩甲上神経支配である.
✕(3) 三角筋,小円筋は腋窩神経支配である.
◯(4),(5) 烏口腕筋,上腕二頭筋は筋皮神経支配である.
正解 : (4),(5)
【解法の要点】
筋と支配神経に関する問題.すべて完璧に覚えるのは難しいので,基本的なところを押さえて,残りは解剖学的に考えて正答を導こう.橈骨神経は主に伸筋を支配している.
【解説】
◯(1) 肘筋は橈骨神経支配である.
◯(2) 回外筋は橈骨神経支配である.
✕(3) 背側骨間筋や掌側骨間筋は尺骨神経支配である.
✕(4) 方形回内筋や円回内筋は,正中神経支配である.
✕(5) 短母指外転筋は母指球筋(短母指外転筋,短母指屈筋,母指対立筋,母指内転筋)の一つである.母指球筋は正中神経である.ただし,母指内転筋は尺骨神経支配なので含めないことが多い.
正解 : (1),(2)
【解法の要点】
顔面感覚の支配神経は頻出である.顔面の感覚は三叉神経が3枝に分かれて,第1枝(V1:眼神経)が頭頂~鼻部の全感覚(温痛覚,触覚,深部感覚)を,第2枝(V2:上顎神経)が頰部~上顎部の全感覚を,第3枝(V3:下顎神経)が下顎~側頭部,外耳道の一部分の全感覚を,それぞれ支配している.
【解説】
✕(1) 眼神経は三叉神経の第1枝であり,頭頂~鼻部の全感覚を支配している.
✕(2) 顔面神経は表情筋を支配する.
✕(3) 鼓室神経は舌咽神経の枝である.耳下腺に分布し,唾液の分泌を促進する.
✕(4) 耳介側頭神経は下顎神経(三叉神経第3枝)の枝で,側頭部と耳介の感覚を支配する.また,鼓室神経とともに耳下腺の分泌にも関わる.
◯(5) 上顎神経は三叉神経の第2枝であり,頰部~上顎の全感覚を支配している.
正解 : (5)
【解法の要点】
閉鎖神経は,L2~L4の腰神経から分枝し,股関節の内転筋(長内転筋,薄筋,短内転筋,小内転筋,大内転筋,外閉鎖筋),そして大腿内側の皮膚感覚を支配する.
【解説】
✕(1) 閉鎖神経は腰神経叢のL2~L4に含まれる.
✕(2) 閉鎖神経は,大腿内側の表在覚を支配する.
✕(3) 閉鎖神経は腰神経叢に含まれる.仙骨神経叢(L4~S4)の神経は主に下肢の後面に分布し,主要な神経に坐骨神経がある.腰神経叢(T12~L4)の神経は主に下肢の前面に分布し,主要な神経に大腿神経,閉鎖神経がある.
✕(4) 閉鎖神経は閉鎖孔を通る.閉鎖孔ヘルニアによって損傷を受けることがある.
◯(5) 薄筋は股関節内転筋群の一つであり,閉鎖神経支配である.
正解 : (5)
【解法の要点】
二重神経支配を受ける主な筋は,大内転筋,大胸筋,上腕筋,深指屈筋,虫様筋,大腿二頭筋,恥骨筋,短母指屈筋である.過去問はしっかりと覚える必要がある.
【解説】
✕(1) 閉鎖神経の支配を受ける.
◯(2) 大内転筋は閉鎖神経と坐骨神経の二重神経支配を受ける.
✕(3) 大腿神経の支配を受ける.
✕(4),(5) 脛骨神経の支配を受ける.
正解 : (2)