【解法の要点】
胃の解剖に関する問題である.胃切痕はあまり用いられない用語であるが,胃角とほぼ同義と考えてよい.「胃底」は手術に際しても最も底(奥の部分)に見えるためにそのように命名された.噴門近くの背部に向かって張り出している部分である.
【解説】
✕(1) 食道に連なるのは噴門である.幽門は十二指腸に連なる.
✕(2) 胃切痕は胃角にある切り込みである.小弯側にある.
✕(3) 胃底とは胃の上方にある.噴門部から引いた水平線より上の部分である.
✕(4) 噴門部は第11胸椎の左側にある.
◯(5) 胃の大弯は大網を介して横行結腸と結合し,小弯は小網を介して肝臓と結合する.このように間膜を2種類有するのは胃のみである.
正解 : (5)
【解法の要点】
腹部の内臓は,腹膜との位置関係により分類される.腹膜に包まれ,間膜をもつ臓器を後腹膜臓器(腎臓,膵臓,球部を除く十二指腸,上・下行結腸,直腸など)とよぶ.
【解説】
✕(1) 胃は小弯側と大弯測に間膜を有する腹腔内臓器である.
✕(2) 空腸は腹腔内臓器である.
◯(3) 膵臓は後腹膜臓器である.
✕(4) 横行結腸は横行結腸間膜を有しており,腹腔内臓器である.
✕(5) S状結腸はS状結腸間膜を有しており,腹腔内臓器である.
正解 : (3)
【解法の要点】
食道は大きく①頸部食道,②胸部食道,③腹部食道に分けられ,②胸部食道はその中でも上部・中部・下部に区分されている.
【解説】
✕(1) 胃の筋層は3層(外縦,中輪,内斜走)の平滑筋からなる.胃以外の消化管の筋層は内輪,外縦の2層構造である.
✕(2) 口側2/5が空腸,肛門側3/5が回腸とされているが明らかな境界線はなく,肉眼的に区別はできない.
◯(3) 食道入口部,大動脈弓・気管分岐部,食道裂孔部の3ヵ所の生理的狭窄がある.
✕(4) 十二指腸は後腹膜臓器であり腸間膜をもたない.
✕(5) 内肛門括約筋は不随意筋の平滑筋である.
正解 : (3)
【解法の要点】
消化器系の解剖に関する問題である.国家試験では基本的な出題が多いので,本問の内容程度の知識をしっかり押さえておく.
【解説】
✕(1) 食道は気管の後方に位置する.肺が前方にあるので気管も前方にあることは想像できる.気道の軟骨は体表からも触れることができる.
✕(2) 胃底とは,噴門から水平に引いた線の上方に位置する部分をいい,つまり胃の左側を指す.この名称は,外科手術において開腹創から見ると胃の中では最も奥底に位置することからつけられた.
✕(3) 粘膜ヒダは消化管に全般的に存在するが,中でも空腸において密に存在する.
◯(4) 小腸は,十二指腸→空腸→回腸と連なっている.
✕(5) 横行結腸の右端は上行結腸に連なる.
正解 : (4)
【解法の要点】
消化器の解剖・生理に関しての正しい基礎知識が要求されている.胆汁は胆囊ではなく肝臓で産生される.
【解説】
✕(1) 胆汁は肝臓で産生され,胆囊で貯蔵・濃縮される.
◯(2) その通りである.膵臓は後腹膜臓器である.
✕(3) 大腸は盲腸,結腸,直腸に大別される.
✕(4) 小腸は十二指腸,空腸,回腸よりなる.
✕(5) 胃には口側に噴門,肛門側に幽門がある.
正解 : (2)