【解法の要点】
胆汁酸はコレステロール代謝の最終産物であり,肝で合成され毛細胆管中に分泌される.胆嚢では胆汁酸の分泌は行われず,胆汁酸を一時的に貯蔵する役割を果たす.
【解説】
✕(1) 胆汁は肝細胞で産生される.胆嚢で一時的に貯留され,濃縮される.
◯(2) 胆汁酸の原料はコレステロールで,脂質の吸収を助ける両親媒性という脂質にも水にも混ざりやすい特性をもつ.胆汁酸は回腸末端で吸収され肝臓で再利用される.
✕(3) トリグリセリドは,膵臓のリパーゼの働きによってモノグリセリドと遊離脂肪酸に分解され,胆汁の働きによって吸収される.
✕(4) Oddi括約筋の弛緩により胆汁は十二指腸へ放出される.
✕(5) 胆汁酸の働きによりミセルが形成され,この中に脂質消化物が取り込まれる.脂質消化物を含んだミセルはそのままの形で小腸上皮細胞内に移動し,その後輸送蛋白と結合し,カイロミクロンという大きなリポタンパク質をつくる.このリポタンパク質はリンパ流内を輸送される.
正解 : (2)
【解法の要点】
胃液分泌は,物理的刺激,化学的刺激により増加する.胃液分泌は頭相(脳相ともいう),胃相,腸相の3相に分けられる.
【解説】
✕(1) ペプシンは蛋白質を分解する.
✕(2) セクレチンは胃液分泌を抑制する.胃液分泌を促進する代表的な消化管ホルモンはガストリンである.
✕(3) 内因子はビタミンB12の吸収に関与する.
◯(4) 脂肪のほうが消化に時間がかかるため糖類より停滞時間が長くなる.
✕(5) 視覚や嗅覚刺激,口腔粘膜刺激により胃液分泌の増加が始まる(頭相).
正解 : (4)
【解法の要点】
消化酵素の基本的な知識の問題で,これらの消化酵素の知識はすべて必要である.
【解説】
◯(1)αアミラーゼは,デンプンをマルトース(麦芽糖)やデキストリンに分解する.
◯(2) 蛋白質は胃内でペプシンによりポリペプチドへと分解され,ポリペプチドは小腸でトリプシンにより小ペプチド(ポリペプチドに含まれる)へと分解され,続いて各種ペプチダーゼの作用で最終的にアミノ酸に分解され吸収される.
✕(3) ペプシンは蛋白質をポリペプチドに分解する.トリグリセリドを脂肪酸へと分解するのは膵リパーゼである.
✕(4) マルターゼはマルトースなどをブドウ糖に分解する.スクロースをブドウ糖とフルクトースに分解するのはスクラーゼである.
✕(5) ラクターゼはラクトース(乳糖)をガラクトースに分解する.
正解 : (1),(2)
【解法の要点】
空腸で吸収されるものとして,電解質,水分(80~90%),糖質,蛋白質,脂肪,ビタミン(B12以外)などがある.回腸末端ではビタミンB12と胆汁酸が吸収される.
【解説】
◯(1) 糖質は主に空腸で吸収される.
✕(2) 鉄は空腸上部で吸収される.
✕(3),(4) 脂肪,蛋白質は空腸で吸収される.
✕(5) ビタミンB12と胆汁酸塩は回腸末端で吸収される.
正解 : (1)
【解法の要点】
消化酵素を含む消化液は唾液腺,胃腺,肝臓(胆嚢),膵臓,腸腺で分泌される.
【解説】
✕(1) 唾液の1日の分泌量は1~1.5Lである.唾液の大部分は大唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)から分泌される.
✕(2)分泌速度が増すと口腔内pHは上昇する.
✕(3) 加齢に伴い唾液分泌量は低下していく.その結果,細菌が増殖しやすくなり口臭が目立つようになる.
✕(4) 唾液分泌中枢は延髄の中央部から橋の尾側部にかけて存在する上唾液核と下唾液核である.
◯(5) 唾液の生理作用は主にアミラーゼによる多糖類の分解である.
正解 : (5)