【解法の要点】
足部のアーチは,内側縦アーチ,外側縦アーチ,横アーチの3種類がある.内側縦アーチは踵骨・距骨・舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨からなり,前・後脛骨筋,長指・長母指屈筋,母指外転筋が関与する.外側縦アーチは踵骨・立方骨・第5中足骨からなり,長・短腓骨筋,小指外転筋などが関与する.正常な足のアーチは,内側が外側よりも高く,足底腱膜や靱帯により支持され,荷重時に筋が作用することで維持される.
【解説】
✕(1)三角靱帯は,別名内側靱帯ともいい,前・後脛距靱帯,脛踵靱帯,脛舟靱帯からなる.その役割は足関節の外がえしの制限であり,内側縦アーチの維持には関与していない.
✕(2)長足底靱帯は,足底で最も長い靱帯で,踵骨と立方骨,第2-5中足骨に付着し,外側縦アーチに関与する靱帯である.
◯(3)後脛骨筋は内側縦アーチの要石である舟状骨に付着し,後上方へ引き上げることにより,アーチの維持に関与する.
✕(4)足底筋は,名前と位置・役割が全く異なる筋で,膝後面に筋腹のある小さな筋である.足関節の底屈と膝関節の屈曲に関与する.
✕(5)第三腓骨筋は外果の前方を走行し,第5中足骨基底部に付着し,足関節を背屈,足部を外がえしさせる.内側縦アーチの維持には関与しない.
正解 : (3)
【解法の要点】
足関節の構造上,距骨上面の高さにおける関節と下腿筋の位置関係は機能面で重要な意味をもつ.
【解説】
✕(1) ①は長母指伸筋である.
◯(2)②は前脛骨筋である.
✕(3)③は後脛骨筋である.
✕(4)④は第3腓骨筋である.
✕(5)⑤は長腓骨筋である.
正解 : (2)
【解法の要点】
膝の運動に伴う膝蓋骨の動きについて問う問題である.膝蓋骨は人体最大の種子骨で大腿骨前面に位置し,膝関節伸展力を脛骨に伝える役割を担う.
【解説】
✕(1) 膝蓋骨関節面は外側面のほうが内側面より広い.
✕(2) 膝蓋骨は屈曲に伴い大腿骨の下方(遠位)および後方(大腿骨側)に移動し,顆間窩に挟まれるように固定されるため,可動性は低くなる.
◯(3) 膝蓋骨は大腿四頭筋腱を前方へ変位させ,アームを長くすることにより,大腿四頭筋の収縮作用効率を高めている.
✕(4) 膝蓋骨は屈曲に伴い大腿骨の下方および後方に移動する.
✕(5) 膝関節伸展に伴い膝蓋骨は上方に移動して,接触面は下降する.
正解 : (3)
【解法の要点】
関節可動域測定の際の基本軸,移動軸について押さえておく.
【解説】
✕(1)仙骨後面は,胸腰部の屈曲・伸展の基本軸である.
✕(2)肩峰を通る床への垂直線は,頸部の屈曲・伸展の基本軸である.
◯(3)胸腰部の回旋の基本軸は両側の上後腸骨棘を結ぶ線,移動軸は両側の肩峰を結ぶ線である.
✕(4)ヤコビー(Jacoby)線の中心に立てた垂直線は,胸腰部の側屈の基本軸である.
✕(5)第7頸椎棘突起と第1仙椎の棘突起を結ぶ線は,頸部の側屈の基本軸である.
正解 : (3)
【解法の要点】
ストレッチングにおいて,筋を伸張させるには,収縮方向と逆向きの力を加えるため,伸張する筋の作用を知っておく必要がある.また対象筋が二関節筋であるかどうか,あるいは近接した二関節筋の影響があるかを考慮する.図の肢位を読み取り,付着部位と作用から伸張されている筋を考える.
【解説】
✕(1) 薄筋は恥骨体,恥骨下枝と脛骨上部内側面に付着する.股関節の内転・屈曲・伸展,膝関節の屈曲・内旋に働くため,図の肢位では伸張されない.薄筋を伸張させるには,膝関節伸展位で股関節を外転・伸展させる.
✕(2)中間広筋は大腿骨前面・外側面と脛骨粗面に付着する.膝関節の伸展に働くため,図の肢位では伸張されない.中間広筋は,膝関節屈曲によって伸張される.
✕(3)半膜様筋は坐骨結節と脛骨内側顆,斜膝窩靱帯に付着する.股関節の伸展・内旋,膝関節の屈曲・内旋に働くため,図の肢位では伸張されない.股関節を軽度外転・内旋位にて膝関節伸展位を保ちながら股関節屈曲を行うと,効率的に半膜様筋が伸張できる.
✕(4)大腿方形筋は坐骨結節の外側縁に起始し,大腿骨転子間稜に付着する.股関節の深層外旋6筋の一つであり外旋・内転に働くため図の肢位では伸張されない.
◯(5)大腿筋膜張筋は上前腸骨棘と腸脛靱帯を経て脛骨外側顆に付着する.股関節の屈曲・外転・内旋,膝関節の伸展・屈曲・外旋に働く.図で右下肢は股関節伸展・内転方向に置かれており,筋の起始停止を離す方向に同筋が伸張されている.
正解 : (5)