【解法の要点】
オペラント条件付けとは,好ましい行動が行われたときに報酬を与えることによって,好ましい行動を強化していく技法である.小児の自閉スペクトラム症,拒食症,アルコール依存症などに適応がある.
【解説】
✕(1) 系統的脱感作法は,ウォルピにより創始された古典的条件付けに基づく行動療法である.徐々に不安を感じる刺激を大きくして,その刺激に慣れさせる行動をとる.神経症性障害,摂食障害に適応がある.
✕(2) 漸進的筋弛緩法は,リラクセーション技法の一種である.各部位の筋肉に対し,10秒間力を入れて緊張させ,その後15~20秒間脱力・弛緩させる.
✕(3) 暴露反応妨害法は,不安や恐怖の存在化(暴露下)でそれに対抗する行動を我慢(反応妨害)させて,不安や恐怖に慣れさせる方法である.恐怖症や強迫性障害の治療法である.
✕(4) フラッディング(Flooding:「洪水のようにあふれさせる」の意)法は,恐怖や不安症状の原因となる場面に患者をいきなり直面させ,実際には何も恐ろしい事態が生じないことを理解させることで治療を行う.
◯(5) トークンエコノミー法はオペラント条件付けに関連するもので,よいことをすれば報酬としてトークン(代用貨幣)を与え,よい体験として記憶させるものである.小児の自閉スペクトラム症などに適応がある.
正解 : (5)
【解法の要点】
精神療法の適応と行動療法の適応についてはしっかり覚えておきたい.
【解説】
✕(1) 精神分析療法は,フロイトにより開発されたもので,自由連想法によって無意識のうちに抑圧されていた葛藤を意識化させ,洞察し解決に向かわせるものである.成人の神経症性障害に適応がある.精神療法の代表的なものであり,行動療法の技法ではない.
◯(2) 系統的脱感作法は,ウォルピにより創始された古典的条件付けに基づく行動療法である.徐々に不安を感じる刺激を大きくして慣れさせる方法をとる.神経症性障害,摂食障害に適応がある.
◯(3) 認知行動療法の一つで,不安や恐怖の存在下(曝露下)でそれに対抗する行動を我慢(反応妨害)させて,不安や恐怖に慣れさせる方法である.恐怖症や強迫性障害の治療法である.
◯(4) トークンエコノミー法は,オペラント条件付けに関連するもので,良い事をすれば報酬としてトークン(代用貨幣)を与え,良い体験として記憶させるものである.小児自閉スペクトラム症などの小児の疾患に適応がある.
◯(5) バイオフィードバック法は,精神生理学に関連した方法で,生理現象を計測しながら良い状態であれば対象者に信号を出して,良い状態を保つよう訓練する方法である.不安神経症,強迫性障害に適応がある.
正解 : (1)
【解法の要点】
認知療法は,誤った,あるいは極端なものの見方に気づかせて,より適応的な見方に変えていこうとするものである.例えば,うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え,その誤りを修正することによって症状の軽快を図ることなどが臨床的に行なわれている.
【解説】
◯(1) 解法の要点 参照.
✕(2) 認知機能とは,記憶,注意の集中,行動の計画,計画の実行などの機能をいい,認知症や統合失調症などで障害を受ける脳機能をいう.一方,認知療法でいう認知とはものの見方や考え方をいう.
✕(3) 幼少期のこころの問題を主な対象とするのは,無意識を対象とする精神分析療法である.
✕(4) 自動思考とは,ある状況に置かれたときに自動的に浮かび上がってくる考えをいう.その内容は認知の歪みによるものが多く,認知療法では,これに注目して(=同定して)その歪みの修正を行い,症状の改善を図る.
✕(5) 悲観的な思考の内容を検証し,修正するものであり,楽観的な思考への置換を行うわけではない.
正解 : (1)
【解法の要点】
心理療法は頻出項目であるが,教科書をいちいち覚えていったのでは時間がなくなり不安が高まるばかりである.過去問をしっかり覚えておくのがよい.
【解説】
✕(1) 治療過程で,陽性,陰性転移や抵抗が出現するが,それ自体が目標ではなく,それらについての理由を明確化をして,洞察を深めていくように導くのが洞察的心理療法の目標である.
✕(2) 治療過程で,治療者側が患者に対して私的感情を抱くことを逆転移という.治療者が逆転移に気付いたら,同僚に相談するなどして,その感情が何に由来するのかを吟味して治療に役立てるようにすることが必要で,中止するべきではない.
✕(3) 自律訓練法は,Schulz(シュルツ)により開発されたもので,自己催眠により全身をリラックスさせ,心身のコントロールを行うものである.不安階層表は不安を起こさせる刺激を強さによって段階づけしたもので,最低刺激から順次刺激強度を上げていき,最終的には強い刺激でも不安が起こらないようにする系統的脱感作法(Wolpe:ウォルピによる)に用いられる.
✕(4) 絵画療法は,患者に絵を描いてもらい言語化できない患者の精神内界を表現させ,それについて患者と言語的あるいは非言語的に交流することにより症状の改善を図るものである.「禁忌はない」といわれるほど多くの疾患に適応があるが,統合失調症では慢性期の治療に有効である.
◯(5) バイオフィードバック法は,精神生理学に関連した方法である.脳波,心電図,血圧などの生理現象を計測しながら良い状態であれば対象者に信号を出して,良い状態に保つよう訓練するという,オペラント条件付けを用いた手法である.
正解 : (5)
【解法の要点】
治療者の介入の方法として,指示や助言が中心となる治療法を選択する.解釈や洞察を引き出すことを目的とする治療法は除外されることに注意する.
【解説】
✕(1) 芸術療法は,絵画,音楽,心理劇,箱庭,舞踏,コラージュなどの表現活動を通じて,単なる言葉では説明できない患者の思考や感情をみる心理療法の一種である.
✕(2) 森田療法とは,目的・行動本意の作業を繰り返すことにより,症状をあるがままに受け入れながら生活できるようにする方法である.
✕(3) 精神分析療法は,Freudにより開発されたもので,自由連想法により無意識のうちに抑圧されていた葛藤を意識化させ,洞察し解決に向かわせるものである.
✕(4) 来談者中心療法とは,治療者が来談者(クライアント)を指示や助言など,一種の権威で従属させることなく,来談者の話を聞くことにより来談者自らが洞察を得るように導く療法である.
◯(5) バイオフィードバック療法とは,精神生理学に関連した方法で,生理現象を計測しながら良い状態であれば対象者に信号を出して,良い状態を保つように訓練する方法である.これらの治療者の態度は,指示,助言といえる.不安神経症,強迫性障害に適応がある.
正解 : (5)
【解法の要点】
過去問に出題された心理療法についてはしっかり押さえておく.
【解説】
✕(1) コラム法は,嫌な感情が起こった時の状況,気分,自動思考などを表(コラム)に記述し,それを改めるような思考を促すものである.
◯(2) 自律訓練法は自己催眠法の手続きの一つで,リラックスのための基本である.自分に暗示をかけてリラックスを促し心身状態を整える方法である.
✕(3) 自由連想法とは,患者の頭に浮かんだことを隠さずに自由に語ってもらい,無意識を意識化させ,洞察し解決に向かわせる技法のことである.
✕(4) 漸進的筋弛緩法は,リラクセーション技法の一種である.各部位の筋肉に対し,10秒間力を入れて緊張させ,その後15~20秒間脱力・弛緩させる.
✕(5) マインドフルネスとは,「今ここでの体験に」,「意図的に意識を向け」,「評価をせずに」,「囚われのない状態でいる」ことをいう.
正解 : (2)