【解法の要点】
ストレッチングにおいて,筋を伸張させるには,収縮方向と逆向きの力を加える必要がある.伸張しようとする筋の作用を知っておく必要がある.また対象筋が二関節筋であるかどうか,あるいは近接した二関節筋の影響があるかを考慮する.
【解説】
✕(1) 大殿筋は股関節伸展作用をもつ.よって伸張させるには股関節を屈曲させる.
◯(2) 大腿直筋は股関節屈曲および膝伸展作用をもつ.よって伸張させるには,股関節伸展位で膝関節を屈曲させる.なお,非伸張側の下肢をベッドから下ろし股関節を十分に屈曲させることで骨盤の前傾を防ぐと,より伸張感が得られる.
✕(3) 大腿二頭筋長頭は,股関節伸展および膝関節屈曲作用をもつ.よって伸張させるには,膝伸展位で股関節を屈曲させる.
✕(4) 膝窩筋は,膝関節屈曲および脛骨の内旋の作用をもつ.よって伸張させるには,膝伸展位で脛骨を外旋させる.
✕(5) 腓腹筋は,足関節底屈および膝関節屈曲の作用をもつ.よって伸張させるには,膝伸展位で足関節を背屈させる.
正解 : (2)
【解法の要点】
筋を伸張させるには収縮方向と逆向きの力を加える.伸張しようとする筋の作用を知っておく必要がある.また対象筋が二関節筋であるかどうか,あるいは近接した二関節筋の影響があるかを考慮する.
【解説】
✕(1) 薄筋は,股関節内転・屈曲,膝関節屈曲作用をもつ.よって伸張させるには,膝関節伸展位で股関節を外転・伸展させる.
✕(2) 中間広筋は,膝関節伸展作用をもつため,膝関節屈曲によって伸張されるが,股関節屈曲位で膝関節を屈曲させると,股関節屈曲作用をもつ二関節筋である大腿直筋が弛緩し,影響を最小限にできる.
✕(3) ヒラメ筋は,足関節底屈作用をもつため,足関節背屈によって伸張されるが,膝関節屈曲位で足関節を背屈させると,膝関節屈曲作用をもつ二関節筋である腓腹筋が弛緩し,影響を最小限にできる.
✕(4) 三角筋前部は,肩関節屈曲・内旋作用をもつ.よって伸張させるには,肩関節を伸展位で外旋する.肩関節屈曲作用をもつ二関節筋である上腕二頭筋を弛緩させるには,肘関節屈曲位をとる.特に上腕二頭筋長頭は肩関節外旋位で緊張するので注意が必要である.
◯(5) 長橈側手根伸筋は,起始部が上腕骨外側縁の下部である二関節筋であり,肘関節屈曲,手関節伸展・橈屈作用をもつ.前腕回旋軸の橈側に位置するため,伸張させるには,肘関節伸展位・前腕回内位・手関節尺屈位で掌屈させる.
正解 : (5)
【解法の要点】
より効果的にハムストリングスを伸張させるために,他の二関節筋を弛緩させるなど,その影響を最小限にすることが重要である.
【解説】
✕(1) 足関節の背屈,膝伸展により二関節筋である腓腹筋が伸張されるため,ハムストリングスを十分に伸張することができない.
◯(2)〜(5) ハムストリングスの伸張運動である.ハムストリングスは大腿骨が固定されている場合,骨盤を後傾する機能を有するため,骨盤の前傾を促すとより効果的にハムストリングスを伸張することができる.
正解 : (1)
【解法の要点】
スタティック・ストレッチングとは,反動をつけずにゆっくりと静的に筋を伸張し,その肢位を数十秒間保持するものである.
【解説】
✕(1) 頻度を多くする必要はない.
✕(2) スタティック・ストレッチングはゆっくり筋を伸張するものである.バリスティック・ストレッチングは,動的に反動をつけながら筋を伸張する方法である.
◯(3) スタティック・ストレッチングは,ゆっくりリラックスしながら数十秒間伸張保持を行うもので,呼吸を続けながら行う.
✕(4) 強い痛みが生じる場合は伸ばしすぎであり,筋断裂の危険性がある.
✕(5) 伸張時間は数十秒間保持させるべきである.
正解 : (3)