【解法の要点】
炎症症状に対する超音波療法の問題である.対象となる疾患や設定方法をしっかり整理しておく.
【解説】
✕(1) 超音波治療では,周波数は1MHzと3MHzを用いる.皮膚表面から2cmまでには3MHzを用い,2~5cmには1MHzを用いる.10MHzは用いない.
✕(2) 照射強度は,温熱効果なら1.0~2.5W/cm2,非温熱効果なら0.5~1.0W/cm2の強度を用いる.症例の場合,炎症が起きてから間がなく炎症反応期であるため,非温熱効果での設定が妥当である.10W/cm2は大きすぎる.
◯(3) 非温熱効果を得る場合は,間欠波を用いて照射時間率は5~50%に調整する.温熱効果を得る場合は,照射時間率が100%である連続波を用いる.
◯(4) 超音波治療による疼痛を訴えた場合,ビーム不均等率(BNR)が高くなっている可能性がある.対処としては,①BNRの低い機器を選ぶ,②定期的な点検を行う,③導子の移動速度を上げる,④強度を下げるといったことがあげられる.
✕(5) 超音波は空気中では皮膚に沿って照射する.
正解 : (3),(4)
【解法の要点】
超音波療法は,温熱および非温熱療法(音圧効果)を伴う理学療法の一種で,血流やコラーゲン線維組織の伸展性を増加させる.筋並びに関節組織の障害に対して適用し,疼痛緩和と関節可動域の改善を目的とするものである.
【解説】
✕(1) 周波数は1MHzと3MHzを用いる.皮膚表面から2cmまでには3MHzを用い,2~5cmには1MHzを用いる.
◯(2) 骨端線への照射は禁忌である.
✕(3) 超音波療法の水中法は,凹凸のある部位への照射に適する.水中で空気を媒介することがないように,水は脱気する必要がある.水中の照射でも温熱効果は期待できる.
◯(4) アクリルなどの合成樹脂は超音波によって溶融する.骨セメントはアクリル樹脂を含んでおり,超音波照射によって加熱・溶融のおそれがあるため禁忌である.
✕(5) 空気中では皮膚に沿って照射する.水中法においては通常0.5~1cm離す.
正解 : (2),(4)
【解法の要点】
物理療法とその禁忌を問う問題は頻出事項である.
【解説】
◯(1) 超音波は,高周波療法では唯一,体内金属への照射が可能である.ただし,ペースメーカーの植え込み部位には,超音波による干渉や機器損傷のおそれがあるため用いない.体内金属が禁忌となるのは超短波や極超短波などの電磁波を用いた物理療法である.
✕(2) 出血傾向・出血がある部位への照射は,大量出血のおそれがあり禁忌である.
✕(3) 成長期骨端部への照射は骨端線の異常成長を起こすため禁忌である.
✕(4) 血栓により肺塞栓など重篤な合併症を招く可能性があり禁忌である.また,循環障害がある場合は血流が改善しにくく,熱の逃げ場がないので熱傷を来しやすい.
✕(5) 腫瘍細胞が活性化してしまうため禁忌である.
正解 : (1)
【解法の要点】
超音波療法は,温熱および非温熱効果(音圧効果)を伴う理学療法の一種で,血流やコラーゲン線維組織の伸張性を増加させる.筋並びに関節組織の障害に対して適用し,疼痛緩和と関節可動域の改善を目的とするものである.
【解説】
✕(1) 臨床的には,温熱効果なら1.0~2.5W/cm2,非温熱効果なら0.5~1.0W/cm2で使用される. 3.0W/cm2は温熱であり,本症例のような急性炎症には禁忌である.
◯(2) 1MHzの超音波では主に深部組織を,3MHzでは浅部組織を治療する.本症例では腰部の深層を狙うことができるため,適切である.
✕(3) 照射時間率は,連続波(100%)で温熱効果,間欠波(5~50%)で非温熱効果が得られる.本症例は急性炎症であるため,100%は適切ではない.
✕(4) 超音波は,空気中では皮膚に沿って照射する.水中法では,通常0.5~1.0cm離す.
✕(5) ビーム不均等率とは超音波の平均強度(W/cm2)に対する最大強度(W/cm2)の比のことである.ビーム不均等率が高いと,出力が大きい場合にキャビテーションによる空洞化現象が起き,組織を損傷するおそれがある.固定法で使用できるのはビーム不均等が低い場合である.BNR6:1では,4cm/secの速さで導子を移動させる.
正解 : (2)