【解法の要点】
SIAS(Stroke Impairment Assessment Set:脳卒中機能障害評価法)は,脳卒中の多様な症状を運動機能障害だけでなく言語機能,感覚機能など非麻痺側機能を含めて総合的に評価する方法である.含まれている項目を覚えておこう.
【解説】
✕(1) 意識障害は評価項目に含まれない.
✕(2) 感覚機能は,触覚と位置覚を評価する.異常知覚は含まれない.
✕(3) 嚥下機能は含まれない.
✕(4) 測定障害は含まれない.測定障害とは,小脳障害による運動失調の一つであり,手足の運動を目的の位置にもっていくことができなくなる.例えば,コップを掴もうとしても,コップの手前で手が止まったりコップを通り越したりする.
◯(5) 高次脳機能の項目として視空間認知が含まれている.
正解 : (5)
【解法の要点】
NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)は,脳卒中神経学的重症度の評価スケールとして世界的に利用されている,ベッドサイドでできる簡便な評価法の一つである.正常が0点で,点数が高いほど重症である.評価項目は,①意識水準,意識障害,②注視,③視野,④顔面麻痺,⑤上肢の運動,⑥下肢の運動,⑦運動失調,⑧感覚,⑨言語,⑩構音障害,⑪消去現象と注意障害である.評価項目を覚えておく.
【解説】
✕(1),(2),(5) 含まれない.
◯(3),(4) 意識障害,顔面麻痺は含まれる.
正解 : (3),(4)
【解法の要点】
脳卒中機能評価法(SIAS)の麻痺側運動機能テストの評価についてである.
図1:上肢近位運動機能の評価.肩のわずかな動きがあるが手部が乳頭部に届かないので,1点である.
図2:下肢近位(股)運動機能の評価.股関節の屈曲運動あり,足部は床から離れるが十分ではないので,2点である.
図3:下肢遠位(膝)運動機能の評価.膝関節の伸展運動あり,足部は床より離れるが十分ではないので,2点である.
【解説】
◯(1)1+2+2=5点
✕(2)~(5)
正解 : (1)
【解法の要点】
脳血管障害の各評価法の評価項目まで知らないと解けない.確認しておこう.
【解説】
✕(1) FMA(Fugl-Meyer assessment)は,脳血管障害後の総合評価法であり,上肢・下肢の運動機能,感覚,バランス,関節障害,疼痛を評価する.
✕(2) JSS(Japan Stroke Scale)の評価項目は意識,言語,無視,視野欠損または半盲,眼球運動障害,瞳孔異常,顔面麻痺,足底反射,感覚系,運動系(手,腕,下肢)の10項目である.脳卒中急性期の評価に用いることを主たる目的にしている.
✕(3) mRS(Modified Rankin Scale)は,脳卒中の病態を「全く症状なし(Grade 0)」から「死亡(Grade 6)」までの7段階で評価したものである.
◯(4) 解法の要点 参照.
◯(5) SIAS(Stroke Impairment Assessment Set)は,脳卒中を運動機能,筋緊張,言語機能,感覚機能,関節可動域,疼痛,体幹機能,視空間認知,非麻痺側機能など多岐にわたって評価する方法である.
正解 : (4),(5)
【解法の要点】
Brunnstrom法ステージは,脳卒中による運動麻痺の弛緩状態から正常な共同運動・協調運動が確立されるまでの回復段階を示す評価法である.
【解説】
✕(1)上肢Vのテストである.上肢IVでは,上肢を腰の後ろへ回す,上肢を90°屈曲・挙上可能,上肢を肘屈曲位で前腕回内・回外可能である.
✕(2)上肢IVのテストである.上肢Vでは,上肢を伸展位で90°外転・挙上可能,または前方頭上へ挙上,肘伸展位での前腕回内・回外可能である.
✕(3)下肢IIIのテストである.下肢IVでは,座位・膝関節屈曲位で踵を床につけたまま足関節背屈,座位で足を床の後方へすべらせて麻痺側を90°以上屈曲が可能である.
◯(4)下肢Vのテストである.他に,立位で膝伸展位での足背屈運動が可能である.
✕(5)下肢Vのテストである.下肢VIでは,立位で股関節・膝関節伸展位で骨盤挙上による範囲をこえた股関節外転運動,座位で足の外反・内反を伴う下腿部の外旋・内旋運動が可能である.
正解 : (4)
【解法の要点】
Brunnstrom法に関する各ステージの具体的な内容の理解が問われている.
【解説】
✕(1) 上肢Vで可能である.上肢IVでは,上肢を腰の後ろへ回すこと,肘伸展位で肩関節90°屈曲,肘屈曲位で前腕回内・回外が可能である.
✕(2) 上肢Vで可能である.
✕(3) 足部が十分に床から離れており,課題が可能である.3点以上である.
✕(4) 下肢VIで可能である.ほかに,立位で股関節・膝関節伸展位で骨盤挙上による範囲を超えた股関節外転運動が可能である.
◯(5) 下肢IVで可能である.ほかに,座位で足を床の後方へすべらせて膝関節90°以上屈曲が可能である.
正解 : (5)