【解法の要点】
高血糖状態が続くと血漿浸透圧が上昇し,利尿が進むことで水・電解質の喪失が起こり,脱水症状から口渇,多飲を来す.
【解説】
◯(1) 高血糖状態が続くと多尿,口渇,多飲,体重減少などの症状を示す.
✕(2)~(5) 低血糖症状である.
正解 : (1)
【解法の要点】
2型糖尿病についての知識を問われている.CRPとCPRは似ているので要注意.
【解説】
✕(1) CRP(C-reactive protein)は急性炎症によって肝臓で生成される蛋白質である.
✕(2) 糖尿病の患者は尿糖が陽性となるが,1ヵ月後の指標とはならない.
◯(3) HbA1cは,およそ1〜2ヵ月の平均血糖レベルを反映するといわれている.
✕(4) 糖尿病の診断や現在の血糖値の状況を把握するのに重要である.
✕(5) アルブミンは肝臓で産生される血漿蛋白質で,肝硬変や肝機能障害などで低下する.
正解 : (3)
【解法の要点】
糖尿病性神経障害は糖尿病に合併する末梢神経障害で,眼筋・眼瞼挙筋麻痺,下肢の腱反射低下,振動覚障害,しびれなどが特徴である.上肢よりも下肢,近位部よりも遠位部が障害されやすく,感覚障害は手部や足部(手袋靴下型感覚障害)に左右対称に起こることが多い.糖尿病性の多発神経障害では,早期から振動覚の障害がみられやすい.
【解説】
✕(1) 診断の際には膝蓋腱反射ではなくアキレス腱反射の検査が有用である.
✕(2) 運動神経症状は初期には目立たない.
◯(3) 解法の要点 参照.内果にて振動覚の検査を行う.
✕(4) 多発神経障害の症状として初期から関節の拘縮がみられるわけではない.
✕(5) 歩行能力やバランス能力の検査である.早期からは異常はみられない.
正解 : (3)
【解法の要点】
糖尿病における運動療法は,インスリン抵抗性を改善させる長期的効果と,筋血流上昇を介して食後高血糖を下げる短期的な効果がある.しかし,①血糖値のコントロールが非常に悪い場合,さらに②糖尿病による合併症の進行した例では,運動療法はしばしば禁忌となる.
【解説】
✕(1) 食後,血糖上昇は1~2時間後にピークとなるため,それに合わせて1~2時間後に運動療法を行い,血糖値を一定に保つようにする.
✕(2) 運動強度はBorg指数で13(ややきつい)に設定する.
✕(3) 糖尿病の治療は食事療法,運動療法,薬物療法が基本となる.インスリンによる治療が始まっていても食事療法,運動療法は継続する.低血糖症状に注意する.
✕(4) 尿中ケトン体陽性の場合,糖尿病のコントロールが不良であり高ケトン体血症(ケトアシドーシス)を呈している可能性がある.運動療法は禁忌となる.
◯(5) 原則的に,網膜症がある場合には運動強度は軽くする.新鮮な眼底出血のある増殖性網膜症がある場合は,運動療法は禁忌である.
正解 : (5)
68歳の男性.2型糖尿病,脂質異常症.身長160cm,体重85.0kg,体脂肪率38%.血液検査は,HbA1c 8.2%,空腹時血糖145mg/dL.仕事は管理職,デスクワーク中心で一日の歩数は3,550歩(同年代歩数7,157歩).筋力低下,感覚障害,関節可動域制限は認めない. 運動療法で誤っているのはどれか.
- (1)食事の1時間後に実施する.
- (2)筋力増強運動は週2~3回行う.
- (3)身体活動量増加のための生活指導を行う.
- (4)有酸素運動は1回10分,週に合計40分程度行う.
- (5)有酸素運動の運動強度は最大酸素摂取量の50%程度とする.
【解法の要点】
本症例は高度の肥満があり,身体活動量が低いことがわかる.糖尿病における運動療法には,①インスリン抵抗性を改善させる長期的効果,②筋血流上昇を介して食後高血糖を下げる短期的効果がある.
【解説】
◯(1) 血糖値の上昇は食後1~2時間後にピークとなるため,それに合わせて1~2時間後に運動療法を行い,血糖値を一定に保つようにする.
◯(2) 有酸素運動と並行して,週に2~3回の筋力増強運動を行うことが勧められている.
◯(3) 本症例の歩数は同年代歩数の半分程度であり,身体活動量が低い.NEAT(non exercise activity thermogenesis:ニート)とよばれる,日常生活の中での活動量を増やすような生活指導が必要である.
✕(4) 厚生労働省の「標準的な運動プログラム」では,2型糖尿病の人の場合,中等度(50~70%最高心拍数)の運動を1回20~60分,週3~5回実施することを推奨している.
◯(5) 糖尿病の運動療法では,最大酸素摂取量の40~60%の運動強度が推奨される.
正解 : (4)