【解法の要点】
Down症候群は,①特異な顔貌,②多発奇形,③筋緊張低下,④成長障害,⑤発達遅滞を特徴とする染色体異常症である.多くは21番染色体の過剰(トリソミー)が原因である.筋緊張低下や関節靱帯の弛緩が特徴であるため,座位姿勢においてもそれが反映される.
【解説】
✕(1) ボールを持ち,体幹を回旋してもバランスを崩しておらず,正常な発達である.
◯(2) Down症候群では四肢体幹ともに低緊張のため,股関節は弛緩して大きく開いている.体幹は筋力が弱いため上肢の支持を使って座位を保持しており,体幹は伸展位となっている.
✕(3) 股関節内転,内旋位の緊張が強く,痙直型四肢麻痺児にみられやすい座位姿勢である.
✕(4) 上肢支持での座位であり,生後6ヵ月前後の正常な発達でみられる.
✕(5) 割り座での座位で安定している(痙直型両麻痺児によくみられる).
正解 : (2)
【解法の要点】
Down症候群は,筋緊張低下と運動発達の遅れ・精神発達の遅れを伴うことから,早期からリハビリテーションが開始されるが,心房中隔欠損(ASD)・心室中隔欠損(VSD)などの心疾患の合併があると,運動に注意が必要となる.筋緊張低下から,足アーチの消失・外反足がみられ,足底板を作製することもしばしばある.
【解説】
✕(1) 後弓反張は,頸部と体幹が硬直し過伸展することによって弓状に反り返る状態である.重度の脳障害(脳性麻痺など)でみられる.
✕(2) はさみ脚歩行は,内転筋の筋緊張亢進により両下肢が交差するように歩行することで,痙直型両麻痺児でみられる.
✕(3) スカーフ徴候は筋緊張低下の所見であり,背臥位で片方の手首を持ち胸に肘をつけながら内転させると上肢が襟巻きの様に首に巻きつく状態で,フロッピーインファント(弛緩型脳性麻痺児など)でみられる.Down症候群も筋緊張低下であり陽性となる.
◯(4) シャフリングとはいざり(座ったままお尻で移動する)のことである.Down症児では立位歩行の獲得が遅れ特徴的である.
✕(5) 緊張性迷路反射の亢進は脳性麻痺児でみられる.Down症候群では筋緊張低下のため,原始反射は現れにくい.
正解 : (4)
【解法の要点】
Down症候群は別名「21トリソミー」ともよばれ,染色体異常が原因で知的障害を来す.また,先天性心疾患や消化管疾患などを合併することがある.乳児期の特徴としては,全身の筋緊張が低く,発達の遅れを伴う.
【解説】
◯(1) 筋緊張の低下により股関節を外転させた肢位をとりやすい.
✕(2),(3) Down症候群は筋緊張の低下を特徴とするため,伸展側下肢の尖足傾向,上肢の過剰な引き込みはみられない.
✕(4) Down症候群は筋緊張の低下を特徴とするため,緊張性迷路反射は残存しない.
✕(5) 脳性麻痺などの筋緊張の亢進を特徴とする場合は,下肢運動は交互性の欠如を認めるが,Down症候群では,下肢運動の交互性は保たれる.
正解 : (1)
【解法の要点】
Down症は,①特異な顔貌,②多発奇形,③筋緊張低下,④成長障害,⑤発達遅滞を特徴とする染色体異常症である.多くは21番染色体の過剰(トリソミー)が原因である.Down症児は筋緊張低下があることを知っていれば解答は容易であろう.
【解説】
✕(1) 図は,頭部の左回旋に伴い非対称性緊張性頸反射(ATNR)の影響を受けている.また,下肢は伸展共同運動が出現しており,痙直型四肢麻痺であると推測される.
◯(2) 正常発達の乳児期前半では,背臥位にて手で足をつかむ動作を行うようになるが,Down症乳児の場合,全身の筋緊張が低下しているため,背臥位では下肢が外転・外旋した蛙様肢位となり,足の持ち上げが難しい.
✕(3) 頸部~背部の反り返りや下肢の伸展パターンから,痙性が高く痙直型四肢麻痺様である.非対称性緊張性頸反射(ATNR)のパターンが頸部から上肢にみられているが,下肢の交差から徐々に寝返りの動きが誘導されてきている状態に見える.
✕(4) 小児の正常な運動発達として,5ヵ月頃に手で足をつかむことができるようになる.Down症では四肢体幹の筋緊張が低下しているため,乳児期前半では,足を持ち上げることができない.
✕(5) 小児の正常な運動発達として,ピボットプローン(飛行機肢位)とよばれる四肢を伸展・外転,脊柱を伸展して腹部を支点とする反り返り姿勢が4~5ヵ月頃にみられる.
正解 : (2)
【解法の要点】
Down症候群は,①特異な顔貌,②多発奇形,③筋緊張低下,④成長障害,⑤発達遅滞を特徴とする染色体異常疾患である.多くは21番染色体の過剰(トリソミー)が原因である.筋緊張低下と運動発達の遅れ・精神発達の遅れを伴うことから,早期からリハビリテーションが開始される.
【解説】
◯(1) Down症候群の児は全身の筋緊張が低下しているため,筋活動を促し,筋緊張を高めることは重要である.
✕(2) Down症候群では,不随意運動は起こりにくいため不要である.
✕(3) 背這いをさせる必要はなく,正常児と同じように四つ這いより歩行へ移行させる.
✕(4) Down症候群では筋緊張低下のため,原始反射は現れにくい.原始反射を促通し強化する必要はない.
✕(5) 全身の筋緊張が低下しており,定頸後すぐに立位姿勢にすることは適切ではない.寝返りやハイハイなど,通常発達の順番に沿って練習を行う.
正解 : (1)