【解法の要点】
変形性膝関節症は,関節軟骨の変性を基盤とした非炎症性の疾患である.原因が不明で老化現象と機械的影響によって起こる一次性(原発性)と,関節疾患や外傷に続発して起こる二次性に分類される.大部分が一次性といわれており,肥満傾向の女性に多くみられる.
【解説】
✕(1) 肥満との関係が深いと考えられており,ほとんどが一次性に発症する.二次性が多いのは,変形性股関節症である.
✕(2) 中年期以降の肥満女性に好発する.
✕(3) 日本では,膝内反変形を伴うことが多い.
◯(4) 疼痛は運動時が多く,特に運動開始時や階段昇降時にみられる.運動時,膝関節にストレスが生じ疼痛を誘発する.
◯(5) 大腿四頭筋の萎縮がみられるため,筋力強化により膝関節の安定性を増す.
正解 : (4),(5)
【解法の要点】
内反変形のある膝関節では,立脚期に外方動揺(外側スラスト)が起こりやすい.これは変形による骨自体の安定性低下や膝関節の支持組織(筋や靱帯)の機能障害による影響が強く,周囲関節の機能異常や不良姿勢によって増強することもある.膝関節は最大の荷重関節であるとともに,中間関節であることを考慮する必要がある.
【解説】
◯(1) 患肢が遊脚相から立脚相に変わる際に,膝は外側に動揺する(外側スラスト).
◯(2) 内反膝があると立脚側下肢へのスムーズな重心移動が困難であるため,体幹の同側傾斜による代償がみられる.重心線が支持側足部より内側にずれるほど,膝関節の外側動揺は増加し,痛みなどの原因になる.
✕(3) 反張膝は痙性片麻痺や膝周囲筋の筋力低下などで生じるが,変形性膝関節症患者では,関節変形から屈曲・伸展ともに制限が加わるため起こりにくい.
✕(4) 分回し歩行は痙性片麻痺でみられる.
✕(5) 膝関節病変のみで患側の遊脚相にアライメント異常を示すことは少ない.遊脚側の骨盤下制が起こる場合は,主に対側下肢や体幹筋の筋力低下が多い.
正解 : (1),(2)
【解法の要点】
理学療法診療ガイドラインにおける理学療法介入の推奨グレード分類についての問題.ガイドラインでは変形性膝関節症に対する各種介入法の効果をWOMACスコア(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index), SF-36, ADLなどによって評価している.
【解説】
✕(1) 協調運動は,推奨グレードA,エビデンスレベル2である.
✕(2)〜(4) 減量療法,有酸素運動,筋力増強運動は,推奨グレードA,エビデンスレベル 1である.
◯(5) ホットパックは,推奨グレードC1,エビデンスレベル2である.
正解 : (5)
【解法の要点】
整形外科領域でよく用いられる股関節JOAスコアでは,①疼痛,②可動域,③歩行能力,④日常生活動作の4項目が評価の対象となっている.
【解説】
✕(1) Duchenne歩行は,中殿筋の筋力低下が疑われるTrendelenburg歩行が起きないよう,体幹を患側へ傾ける歩行である.
✕(2) 大腿骨頭の圧潰,関節裂隙の狭小化,股関節内転拘縮などにより,脚長差が生じる.
✕(3) 本例は手術適応もあり,疼痛が強く,ADLが大きく阻害されている可能性がある.
◯(4) 反射検査は主に神経系の評価に用いる.他のと比較すると重要度は低い.
✕(5) 進行に伴い股関節の可動域が制限され,日常動作(靴下履き,足の爪切り,しゃがみこみなど)が困難になる.
正解 : (4)
【解法の要点】
人工股関節置換術術後の股関節脱臼しやすい肢位やクリニカルパスを覚えておく.
【解説】
✕(1) 後方アプローチの人工股関節は股関節屈曲・内転・内旋で脱臼しやすいため,このような肢位は避ける.
◯(2) 廃用性の筋力低下を防ぐためにも,関節の動きを伴わない等尺性運動を術後翌日に行う.
✕(3),(5) 特に術中合併症がない限り,一般的には術後翌日より平行棒内から痛みの範囲内でできるだけ荷重歩行訓練を開始する.
✕(4) 股関節の可動域を過度に制限すると,座位も取れず術後の活動性も下がってしまう.脱臼肢位といっても過屈曲を制限するのであって,屈曲45°で制限するようなことはない.
正解 : (2)