【解法の要点】
中指のDIP関節は過伸展,PIP関節は屈曲位で,ボタン穴変形を呈している.関節リウマチによる代表的な関節の変形についてはしっかりと押さえておこう.
【解説】
✕(1) Z変形は手の母指に起こるもので,IP関節が過伸展している状態である.図の対象は母指ではない.
✕(2) 鉤爪変形は,手内在筋である骨間筋と虫様筋の麻痺により指伸筋のみが収縮した状態で,特に薬指・小指のDIP関節とPIP関節の屈曲,MP関節が過伸展している状態である.鷲手ともいう.図の特徴には当てはまらない.
◯(3) ボタン穴変形は,DIP関節が過伸展,PIP関節が屈曲している状態である.図の特徴に当てはまる.
✕(4) Krukenberg(クルケンベルグ)変形は,MP関節が掌尺屈を来す変形である.尺側偏位ともいう.図の特徴には当てはまらない.
✕(5) スワンネック変形は,手指のDIP関節が屈曲し,PIP関節が過伸展している状態である.図の特徴には当てはまらない.
正解 : (3)
【解法の要点】
SteinbrockerのステージⅢは,「関節変形あり,強直なし」の状態である.クラス3はADLはできるが,職業や余暇活動は制限される状態である.
【解説】
◯(1) 関節の変形から痛みが生じるため,痛みの軽減および関節破壊の進行予防目的で足底板を調整する.
✕(2) 関節リウマチでは,環軸椎亜脱臼を起こすことがある.ずれた環軸と軸椎によって頸髄が圧迫され,頭痛,運動麻痺,感覚障害などの頸髄圧迫症状が現れるほか,重篤な場合は延髄圧迫による呼吸障害を来し,致死的な状況に陥ることもある.よって,頸椎の等張性抵抗運動は避けるべきである.
◯(3) 関節変形はあるものの,変形進行を予防するためや炎症・鎮痛作用の目的でスプリントは有効である.
◯(4) 活動期は,炎症を抑えるように関節を保護し,負担をかける筋力強化練習は避けるべきであるが,可動域維持の目的での関節可動域運動は行ってもよい.
◯(5) 手指など小さな関節に負荷をかけない,関節にかかる力を分散させる,変形の進みやすい向きでの荷重をかけない,などのように関節を保護した生活を送るように指導する.
正解 : (2)
【解法の要点】
関節リウマチの運動療法は,関節保護の原則に基づき行う.
【解説】
✕(1) 活動期は,炎症を抑えるように関節を保護し,負担をかける筋力強化訓練は避けるべきであるが,可動域維持の目的での関節可動域運動は行ってもよい.
✕(2) 環軸椎亜脱臼では,ずれた環椎と軸椎によって頸髄が圧迫され,頭痛,運動麻痺,感覚障害などの頸髄圧迫症状が現れる.頸椎可動域運動を行うと,頸髄の圧迫が増強し,四肢麻痺となるおそれがある.ネックカラーなどの頸椎装具で頸部の保護を行う.
✕(3) 関節強直は,関節が破壊されて変形を起こし,可動性を失い,機能しなくなった状態である.関節強直を来す前で炎症が強くない時期に,関節可動域運動により可動域を維持する.
◯(4) 等尺性運動は関節運動を伴わないため,関節に負担をかけずに筋力を維持することができる.運動療法として有効である.
✕(5) ムチランス変形は手指の骨端が短縮した状態であり,関節過動性が亢進しているため,軟性のスプリントやテーピングで関節保護を行う.
正解 : (4)
【解法の要点】
関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は,関節保護の原則に基づき行う.関節保護の原則とは,疼痛を増強するものは避けること,安静と活動のバランスを考慮すること,人的・物的な環境を整備することが挙げられる.
【解説】
✕(1) 手掌と手指全体で椅子の座面に圧をかけるようにする.
✕(2) ビンの栓は手掌側を上にして肘関節屈曲で開けるようにする.
✕(3) 洋ばさみは指節関節の変形を助長するので,テーブルの上に置いて,上から手掌で押すだけで切れるカスタネット型ばさみを用いる.
◯(4) 買い物袋を手で持つのではなく,持ち手を腕にかけて前腕で支える.
✕(5) 座面を高くし,膝関節への負荷を軽減する.座るときには,足底全面を接地させて座るようにする.
正解 : (4)
【解法の要点】
Steinbrockerの分類には,リウマチの関節破壊の進行度(病期)を表すStage分類と,リウマチによる機能障害度を表す分類がある.分類は身の回りのこと,仕事,趣味がどの程度制限されるかを示す.
【解説】
✕(1) CMI(Cornell Medical Index)は心理学的検査で,心身両面の自覚症状を把握でき,神経症性障害・心身症傾向の有無を判定するのに有用である.
✕(2) DASは,関節リウマチの疾患活動性と治療効果の評価方法である.DASは44関節を評価に用いるが,28関節だけで評価できるように簡略化したDAS28が広く用いられている.DAS28では4つの指標(圧痛関節数,腫脹関節数,赤沈またはCRP,患者による全般的評価)より算出する.
✕(3) Larsen分類は基準となるX線像(スタンダードフィルム)を参考に,骨びらんや関節裂隙の狭小化の程度などから,関節ごとに関節破壊の程度を6段階に分類するものである.
✕(4) Sharp scoreは関節リウマチにおけるX線学的評価法の代表的なものである.
◯(5) 解法の要点 参照.
正解 : (5)
【解法の要点】
関節リウマチでは,関節保護の原則に基づき理学療法が行われる.
【解説】
✕(1) 疼痛には温熱療法や薬物療法を行う.関節リウマチでは,疼痛のある関節に持続伸張運動を行うと,関節に負荷がかかり疼痛を増悪させてしまう.関節可動域訓練の際には関節に負荷がかからないように行う.
✕(2) 手指の変形には手指装具等を用いる.超音波療法は疼痛緩和に対して行われるが,炎症が起きている場合は温熱は禁忌である.
✕(3) 横アーチを保持するためのメタタルザルパッドを入れた足底板や,外反母指装具を使った装具療法を行う.金属支柱付短下肢装具は,弛緩性麻痺や中等度〜重度の痙性麻痺,膝のコントロールが困難な場合に対して用いられる.
✕(4) 膝関節外反変形には内側ウェッジの付いた足底板や靴型装具が用いられる.外側ウェッジはO脚(内反)変形に対して用いられる.
◯(5) ネックカラーを使うなど,頸椎前屈姿勢を避け,環軸関節亜脱臼の予防を行う.
正解 : (5)