【解法の要点】
画像の荷重ブレーキ膝が2軸に見えるところがひっかけ問題といえるだろう.
【解説】
◯(1) 吸着式ソケットは,ソケット内壁と断端の軟部組織を密着させることによって自己懸垂性をもつようにしたものをいう.バルブより空気を追い出し,最後に蓋をする.画像のソケット形状は四辺形ソケットとよばれる.
✕(2) ターンテーブルを取り付けることで,膝継手以下を回旋させることができるようになる.室内畳上でのあぐら座位動作,履物の着脱動作などが可能になる.
✕(3) 本画像は荷重ブレーキ機構のついた単軸膝である.多節リンク膝は多軸膝ともよばれ,軸が4つ以上あり,立脚期の安定に有効である.
✕(4) トルク吸収装置とは,ソケットと足部の間などに入れ込む部品で,回旋方向のトルク(衝撃)を吸収する機能がある.
✕(5) ドリンガー足部は農耕用の作業用義足で,足部が丸みを帯びた舟底様になり,前足部がないのが特徴である.これにより,あぜ道,坂道での歩行の安定性と容易さが得られ,泥田の中から足部を抜きやすいという利点がある.
正解 : (1)
【解法の要点】
足継手は,足関節や足部の運動をできるだけ代償できるようにつくられている.前方制動は背屈を,後方制動は底屈を制御する.両(ダブル)クレンザック足継手をイメージして,前のネジを動かすのが前方制動,後ろのネジを動かすのが後方制動と考えて解答を導き出す.
【解説】
✕(1) 尖足は足関節が底屈位で固定された状態であり,後方制動により底屈を制限する.
✕(2) 反張膝は,下腿は後傾位,足部は下腿に対して底屈位となるため,後方制動により底屈を制限する.
◯(3) 立脚時の膝折れは,下腿は前傾位となる.足部は下腿に対して背屈位となるため,前方制動により背屈を制限する.
✕(4) 下腿三頭筋の痙縮により足関節は底屈位となるので, 解説2と同様である.
✕(5) 前脛骨筋の弛緩性麻痺では下垂足となる.後方制動により底屈を制限する.
正解 : (3)
【解法の要点】
下腿義足の異常歩行と原因について理解しておく.本問では,「つま先の浮き上がり」「膝折れを起こしそう」とのkeywordより,矢状面(前後方向)に問題があると考えれられる.このことからを2つまで絞ることができる.「つま先の浮き上がり」=「足部が背屈位」であり,ソケットの初期屈曲角度が大きいことによりソケットを後方へ押し出しやすくなっている状態と考える.「膝折れを起こしそう」=「膝の伸展が困難な状態」であると考えると正解を導ける.
【解説】
✕(1) ソケットの内側上縁に緩みがある,外側上縁が当たる場合は,足部に対してソケットが内側になっていることが原因である.ソケットを外側に移動させる.
✕(2) 平らに接地していても膝折れを起こしそうな場合は,足部に対してソケットが前方になっていることが原因である.ソケットを後方に移動させる.
✕(3) ソケットの外側上縁に緩みがある場合は,足部に対してソケットが外側になっていることが原因である.ソケットを内側に移動させる.
◯(4) ソケットの屈曲角度が過大であることが原因である.初期屈曲角度を減らす.それでも膝の不安定さがある場合には,ソケットを後方に移動させる.
✕(5) 靴の外側が浮き上がる場合は,内転角度が過大であることが原因である.初期内転角度を減らす.
正解 : (4)
【解法の要点】
義足の足継手および足部の構造は単軸・多軸・無軸・エネルギー蓄積型などとも分類されるが,それぞれの利点を集めた製品も多く,この程度を覚えておけば十分であろう.
【解説】
✕(1) 単軸足は,足関節にあたる軸があり,足関節の底背屈の動きを可能とし,前方バンパーにより背屈を,後方バンパーにより底屈を制動する.
✕(2) SAFE足は,関節にあたるものがない無軸足であるが,前足部のキールといわれる部分の動きで前後だけでなく左右の不整地にも対応できる.
✕(3) SACH 足(solid ankle cushion heel foot)は,足関節を模した無軸(軸をもたない)足部である.踵部のクッションがたわむことで衝撃を吸収する構造となっている.
◯(4) フレックス足は,エネルギー蓄積型足部であり,カーボングラファイトでつくられている.常用の足部だけでなく,スポーツ専用としても開発され,吸収したエネルギーを推進力として放出エネルギーに変える特性をもつ.
✕(5) Greissinger(グライジンガー)足は,距踵関節が行っている足部の回内外運動・回旋運動ができる多軸足で,リング状のゴムブロックを挟みこんだ形状で実現させた.
正解 : (4)
【解法の要点】
シリコンライナーを使用する場合は断端周径に合ったものを試着し,十分な密着が得られること,圧迫が強すぎないことを基準に選択する.本問では,どれが利点かと問われており,何に比べての利点なのかは,他の一般的なソケットと考えると,下腿義足ならPTB式と比べて解答すべきだろう.
【解説】
✕(1) ソケットトリムラインとは,義足ソケットの縁の形状のことを指す.シリコンライナーの利用で密着性が高くなり,トリムラインを下げることができる.
◯(2) シリコンライナーにより密着性が上がり,ピストン運動は減少する.
✕(3) シリコンライナーをいったん裏返し,ライナーの底を断端先端に密着させて,ライナーをはく動作が必要なので,簡便とはいえない.
✕(4) クッション性はあるものの,皮膚への密着性とシリコンの素材アレルギーからの皮膚症状を来すこともある.
✕(5) シリコンは吸湿性が低いため,発汗への対応が難しい.
正解 : (2)
【解法の要点】
PTB装具の,体重支持部位と除圧部位について押さえておく.PTBとはPatellaTendon weight Bearingの略で,膝蓋腱支持式免荷装具の意味である.
【解説】
✕(1),(2) 脛骨稜,脛骨粗面は除圧部位である.除圧部位は,皮膚直下に骨があり圧迫を受けやすい部分,すなわち①脛骨粗面,②脛骨稜,③脛骨顆部の前面部,④腓骨頭であり,また筋腱の動きを邪魔しないハムストリングスの走行部分である.
✕(3)脛骨末端は断端荷重するわけではないが,荷重にて痛みが出るため除圧は必要である.
◯(4)体重支持部は,皮膚と骨の間に軟部組織がある膝蓋腱部,膝窩部,前脛骨筋部,腓骨骨幹部に加え,皮膚と骨の間に軟部組織がほとんどなくとも骨が広く平面である脛骨内側面である.
✕(5)脛骨顆部隆起部は,脛骨顆間隆起のことと考えられ,膝関節の中の前十字靱帯の付着部となる結節で,体表からは触診できないので,荷重部位にもなりえない.
正解 : (4)