【解法の要点】
下腿義足における異常歩行の問題である.「膝折れを起こしそう」とのことで,矢状面(前後方向)の異常の問題だとわかるが,前額面(左右方向)上での異常も合わせて覚えておく.「膝折れを起こしそう」=「膝の伸展が困難な状態」であると考えれば正解を導ける.
【解説】
◯(1) ソケットの初期屈曲角度が過大であると,立脚初期に床反力が膝関節の軸より後方を通るため膝折れしやすくなる.
✕(2) 初期内転角が不足している場合は,足底の内側が床面から浮き上がる現象が起こる.
✕(3) 股関節の屈曲が制限されている場合,床反力が膝関節の後方を通りにくくなるため反張膝傾向となる.
◯(4) 膝関節の伸展筋(大腿四頭筋)の筋力低下がある場合,膝折れを防ごうと膝を過伸展させ(反張膝傾向になる)ロックする現象がみられる.
✕(5) ソケットが足部に対し過度に後方にある(すなわちトウブレークまでの長さが長すぎる)と,立脚期の重心の前方移動および膝屈曲が制限され,反張膝および尖足傾向となる.
正解 : (1),(4)
【解法の要点】
大腿義足の異常歩行と原因は立脚相,遊脚相に分けてポイントを押さえておく.
【解説】
◯(1) 義足が長すぎると,遊脚相では健側の爪先立ちや義足側の分回し歩行がみられる.立脚相では外転で接地する外転歩行が義足側にみられる.
✕(2) ソケットの内転角度が大きすぎると,外転歩行になる.外転歩行の原因はほかに,会陰部の圧痛や不快感からの回避,股関節の外転拘縮,義足が長すぎるなどがある.
✕(3) 切断側の股関節外転筋力が不足していると,立脚中期に体幹の側屈がみられる.
✕(4) 切断側の股関節伸展筋力が不足していると,立脚相で過度の腰椎前弯や,膝継手の不安定性を訴える.
✕(5) ソケットの初期屈曲角度が不足していると,立脚中期以降で,股関節伸展が限界に達したときに,股関節伸展を補うため骨盤を前傾させることで,過度な腰椎前弯として観察される.
正解 : (1)
【解法の要点】
義足装着者の異常歩行とその原因については,しっかり理解する必要がある.
【解説】
✕(1) 過度の腰椎前弯は,股関節屈曲拘縮や股関節伸展筋力低下が原因となる.
✕(2) 外転歩行は会陰部の圧痛や不快感からの回避,またソケットの内転角度が大きすぎる,股関節に外転拘縮がある,義足長が長いなどの原因が考えられる.
◯(3) 義足膝の不安定とは,立脚期での膝折れのしやすさのことである.つまり,股関節伸展筋力の低下が一番の原因である.他に,ソケットの初期屈曲角度不足,体重荷重線が膝継手の後方すぎる,踵が硬すぎることなどがある.
✕(4) 伸び上がり歩行は,義足長が長い,膝継手の摩擦が低い,義足に対する不安などの原因が考えられる.
✕(5) 分回し歩行は義足長が長いか,義足膝を曲げないように意図的に分回す場合に起こる.
正解 : (3)
【解法の要点】
義足のアライメント異常についての問題は頻出のため,その原因についてよく理解しておくこと.下腿義足のソケットは初期内転角(ソケットが足部・パイプに対して外側に倒れている)・初期屈曲角(ソケットが足部・パイプに対して前方に倒れている)がついているものである.ソケットの内転角が不足している場合は義足の立脚期に義足が外側に傾き,足底の内側が床面から浮き上がる現象が起こる.
【解説】
◯(1) 断端外側遠位部に圧迫感が生じる.
✕(2) 断端内側近位部に圧迫感が生じる.
✕(3) 足部の後方バンパーや踵が硬すぎる場合や,足部の位置がソケットに対して内側すぎる場合に,踵接地時に義足足部の回旋が生じる.
✕(4) 初期内転角が不足している場合は,足底の内側が床面から浮き上がる現象が起こる.
✕(5) 歩隔が広くなることはない.
正解 : (1)
【解法の要点】
義足のアライメント異常は頻出のため,その原因を理解しておきたい.問題文から立脚初期において膝折れが生じているのがわかる.
【解説】
✕(1) 足部が底屈しすぎていると反張膝を誘発する.足部が背屈しすぎていると膝折れ感がある.
◯(2) 足部後方バンパーが硬すぎると,足部の回旋が起きる.
◯(3) ソケットの初期屈曲角度が大きすぎると,ソケット入口部が前方へ向くようになり膝折れを誘発する.
✕(4) ソケットが足部に対し過度に後方にある(すなわちトウブレークまでの長さが長すぎる)と,立脚期の重心の前方移動および膝屈曲が制限され,反張膝傾向となる.
✕(5) 初期内転角とは,もともとO脚気味(生理的外反)にできている下腿に合わせて,ソケットの入り口が外方に向くように設定されているものであるが,初期内転角が不足している場合は,足底の内側が床面から浮き上がる現象が起こる.膝屈曲が生じたことから,矢状面(前後方向)での問題が起きていると考えると,前額面(左右方向)での選択肢であるため除外できる.
正解 : (2),(3)