【解法の要点】
福祉用具の役割と疾患の特徴を理解できていれば正解できる問題である.
【解説】
◯(1) 台付き爪切りは,関節リウマチによる手指変形の場合や握力低下時でも弱い力で切れる爪切りである.関節リウマチに対しては,関節の負担をなるべく軽くし,骨破壊の進行を防止することが基本になるため,台付き爪切りは適応となる.
✕(2) 一側の上肢の機能が保たれており,手指の動作に問題はないのでプルトップオープナーを使用する必要はないが,ボトルを押さえることができないため,蓋を開けることは困難である.ボトルオープナーを必要とする.
✕(3) スライディングボードは,座った姿勢を保持したままベッドから車椅子に移乗するための福祉用具であり,介助者は少ない力で無理なく介助できる.ある程度の座位を保つことができるが,立位の介助量が多い場合に適応になる.第2腰髄完全損傷は,実用的な歩行が獲得できるレベルであり,スライディングボードは必要ない.
✕(4) コミュニケーションエイド(重度障害者用意思伝達装置)は,発声が困難で手足がほとんど動かせない重度の障害者が使えるよう,入力方法を工夫し,コンピューターを介して発声や文字表示でコミュニケーションをとる装置である.第8頸髄完全損傷では,コミュニケーションに障害は来さないため必要ない.
✕(5) リーチャーは上・下肢や体幹の関節可動域に制限や痛みがある場合に用いる.アテトーゼ型脳性麻痺では,不随意運動が生じるため使用は困難である.
正解 : (1)
【解法の要点】
自助具に関する問題.自助具の形状と使用方法を覚えていれば正解を導き出せる.
【解説】
✕(1) ボタンエイドはリウマチなどの手指の巧緻動作が困難な場合に適応がある.片麻痺では非麻痺側上肢でボタンの掛け外しができるため不要である.
✕(2) 一側の上肢の機能が保たれており,手指の動作に問題はないのでプルトップオープナーを使用する必要はないが,ボトルを押さえることができないため,蓋を開けることは困難である.ボトルオープナーを必要とする.
✕(3) リーチャーは上・下肢や体幹の関節可動域に制限や痛みがある場合に用いる(関節リウマチなど).脊髄小脳変性症では測定障害があるとうまく使えないことが多い.
◯(4) 台付き爪切りを用いて足の爪を切ることができる.
✕(5) ソックスエイドは足部に手が十分に届かない障害に用いる.痙直型脳性麻痺のように筋緊張が強い場合などは適応となるが,アテトーゼ型脳性麻痺では不随意運動があるためうまく使えないことが多い.
正解 : (4)
【解法の要点】
ロービジョンケアとは,視覚に障害があるため生活に何らかの支障を来している人に対する医療的,教育的,職業的,社会的,福祉的,心理的などすべての支援の総称である.
【解説】
✕(1) 介助者は視覚障害者の半歩前に立ち,肘の上を握ってもらう.「肘の上を持ってください」などと声をかけてから視覚障害者の手を自分の肘に誘導する.
◯(2) バスの乗り降りは階段と同じ要領で,介助者が一段先に乗降する形で行う.
◯(3) 階段は段に対して直角に近づき,「下りの階段です」とひと声かけてから,介助者はまず一段降りて,または片足だけ下りて一旦止まる.
✕(4) ドアの正面に立ち,ホームに対してまっすぐに近づき,ホームの縁にできるだけ近づいて並ぶようにして,少し立ち止まる.「乗ります」と声をかけて介助者が先に乗り込んで視覚障害者が続く.誘導の基本姿勢のまま乗り込むと,半歩後ろにいる視覚障害者は電車とホームの間に足を落としやすくなるので注意を払う.
✕(5) 手前に引いて出入りするドアでは,介助者はドアを手前に開けることを視覚障害者に伝えながら一緒に後ろに下がりつつドアを開け,視覚障害者にドアの縁の位置を触らせ,視覚障害者が先に入る.
正解 : (2),(3)