【解法の要点】
標準予防策(standard precautions)とは,感染の有無に関わらず,すべての患者に適用される予防対策であり,院内感染の防止策として推奨されている.患者の汗を除くすべての湿性生体物質(血液,体液,分泌物,嘔吐物,排泄物,創傷皮膚,粘膜)は感染のおそれがあるとみなして対応し,行動する.
【解説】
✕(1) すべての患者が対象となる.
◯(2) 患者の血液は湿性生体物質にあたり,感染のおそれがあるものとみなす.素手で触れてしまうと感染のおそれがあるため,手袋を着用して対処する.
✕(3) 屋外であっても,屋内と同様の感染予防対策を行う.
✕(4) 医療における手指衛生のタイミングとして,①患者に接触する前,②清潔・無菌操作の前,③体液曝露リスクの後,④患者に接触した後,⑤患者環境に触れた後,の5つがある.よって,患者に接触する血圧測定前には手指衛生を行う.
✕(5) N95マスクは,結核菌や麻疹ウイルスなどの空気感染予防策で着用する.標準予防策では,サージカルマスクを使用する.
正解 : (2)
【解法の要点】
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は,接触感染で広がり,その経路は2つある.1つは直接患者に接触する経路で,もう1つは介護用具や環境表面などとの間接接触による経路である.感染予防では,感染経路を遮断することが原則である.誤嚥性肺炎における肺理学療法では排痰練習などが必要となるため,個人防護具が汚染される可能性がある.個人防護具の使い回しは,他の患者と医療従事者双方の感染リスクを高める.
【解説】
✕(1) N95マスクは,結核菌や麻疹ウイルスなどの空気感染予防策で着用する.
✕(2) MRSAが検出された患者は,原則として個室収容または集団隔離が必要である.選択肢2は,空気感染予防策を意図したものと考えられる.
◯(3) ガウンには菌が付着している可能性があるため,退室時には病室内で脱いで汚染面(外側)を内側にたたみ小さくまとめて廃棄する.
✕(4) 手袋に菌の付着の可能性があるため,そのままドアノブを触ってはならない.
✕(5) 手袋には100枚に1枚程度の確率でピンホールという目に見えない穴があいていることもある.手袋装着の有無にかかわらず,手指消毒は必要である.伝播を防止するために手指衛生の遵守が最も重要である.
正解 : (3)
【解法の要点】
標準予防策(standard precautions)とは,感染の有無にかかわらず,すべての患者に適用される予防対策であり,院内感染の防止策として推奨されている.
【解説】
✕(1) 患者間のみではなく,スタッフ(医療者)も含めた院内感染の防止策である.
✕(2) 標準予防策に手袋の着用は含まれるが,滅菌手袋である必要はない.滅菌手袋は,文字通り滅菌済みの手袋であり,手術,骨髄穿刺,ドレーン挿入・管理,中心静脈カテーテル挿入などの無菌操作が必要な手技を行う際に使用する.
✕(3) 患者の汗を除くすべての湿性生体物質(血液,体液,分泌物,嘔吐物,排泄物,創傷皮膚,粘膜)を感染のおそれがあるとみなす.
✕(4) 個人防護具の中で最も汚染されている手袋を最初に破棄し,汚染の拡大を防ぐ.
◯(5) 医療における手指衛生のタイミングは,患者に接触する前,清潔・無菌操作の前,体液曝露リスクの後,患者に接触した後,患者環境に触れた後,の5つである.
正解 : (5)
【解法の要点】
理学療法士は,患者の体に触れる機会が多い職種であり,医療関連感染(HAI)を引き起こさないように感染対策が求められる.
【解説】
◯(1) 手指衛生(手洗い,消毒)は感染症患者に限らず,すべての患者に行う予防策である.
◯(2) 病原体の感染経路を把握し,飛沫感染,空気感染,接触感染など感染経路別の正しい知識と予防策が必要である.
◯(3) ガウンテクニックとは,ガウン(予防衣),エプロン,ゴーグル,手袋などの防護具の着け方や外し方の順序のことである.感染している患者から医療者への病原体の曝露を防ぎ,感染していない患者への二次感染を防ぐために重要である.
◯(4) 院内ガイドラインの遵守により院内感染への迅速かつ正確な対応が可能となる.
✕(5) 感染者の病室の配置管理は,病棟の管理者が行うことが多く,理学療法士は通常行わない.
正解 : (5)
【解法の要点】
「WHO医療における手指衛生ガイドライン2009」では,医療における手指衛生のタイミングとして,①患者に接触する前,②清潔・無菌操作の前,③体液曝露リスクの後,④患者に接触した後,⑤患者環境に触れた後,の5つを挙げている.
【解説】
✕(1)〜(4) 患者に接触する前に,手指衛生が必要である.
◯(5) ベッド柵に触れた後に,手指衛生が必要となる.
正解 : (5)