【解法の要点】
機能障害度分類ステージ6は,四つ這い移動は不可能であるが,いざり移動は可能であり,肩甲帯や体幹筋萎縮のため上肢の挙上困難なレベルである.現時点での身体能力に即した支援を選択する.
【解説】
✕1 歩行は不可能となっているため,歩行器の導入はしない.
✕2 Duchenne型筋ジストロフィーにおいては,嚥下機能は進行期まで保たれやすく,ステージ6の時点で食形態変更を必要とするケースは少ない.よって優先される支援ではない.
✕3 歩行は不可能となっているため,長下肢装具の導入はしない.
◯4 学校生活における移動手段には,電動車椅子の導入が優先される支援である.
✕5 歩行でのトイレ移動は不可能であり,手すりの使用も困難であるため優先的に行う支援ではない.
正解 : (4)
【解法の要点】
患者の立ち上がりの様子から,Gowers徴候(登攀性起立)を示しており,床からの立ち上がりが可能である.Duchenne型筋ジストロフィーの厚生省研究班の機能障害度分類の応用問題である.この8段階に関連した問題は頻出であり,必ず覚えておこう.
【解説】
◯1 Gowers徴候(登攀性起立)は腰帯筋,下肢近位筋の筋力低下時にみられ,臥位からの起立時,手を膝の上について,その支えで努力しながら身体を起こす徴候をいい,ステージ2~3まで可能となる.ステージ2は手すりを使用し,階段昇降が可能な状態である.ステージ3は椅子からの起立が可能な状態である.
✕2 ステージ4は,独歩もしくはものにつかまって5m以上の歩行が可能である.
✕3 ステージ5は,起立歩行は不可能であるが,四つ這い移動は可能である.
✕4 ステージ6は,いざり移動は可能である.
✕5 ステージ8は,座位保持不可能で常時臥床の状態である.
正解 : (1)
【解法の要点】
Duchenne型筋ジストロフィーの機能障害度分類ステージ7では,ずり這いは不可能であるが,座位保持が可能である.手指動作以外はADL全介助である.これらを念頭に置き適切な支援を選択する.
【解説】
✕1 片手操作で洗髪を行うためには上肢挙上が必要である.ステージ7の上肢機能では難しい.
✕2 上肢機能や座位保持能力を考えると車椅子の自走は難しい.手指運動で操作できる電動車椅子が適応となる.
✕3 ソックスエイドは,関節リウマチ,大腿骨頸部骨折など,股関節に負担をかけられない人に適応となる.Duchenne型筋ジストロフィーでは適応とならない.
✕4 上肢機能や座位保持能力を考えるとかぶりシャツは適切ではない.
◯5 手指運動で操作できるスイッチを用いることでパソコン操作が可能である.
正解 : (5)
【解法の要点】
Duchenne型筋ジストロフィーの上肢機能障害度分類のレベル8は,机上で体幹の反動を利用し肘伸展を行ったのち,手の運動で水平前方への移動が可能である.
【解説】
◯1 パソコンのマウスを操作することはできる.
✕2 スプーンを使って食べるためには上肢の90°以上の屈曲が必要である.上肢の90°以上の屈曲はレベル4までが可能である.
✕3 普通型車椅子で自走するためにはある程度の筋力も必要であり,レベル2以上が必要である.
✕4 急須でお茶を注ぐためには上肢の前方挙上が必要である.重量を持った前方挙上はレベル2までである.
✕5 Tシャツを脱ぐためには上肢の直上挙上が必要である.上肢の直上挙上はレベル3までが可能である.
正解 : (1)