【解法の要点】
閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患は,閉塞性,拘束性の名称が病態を示している.閉塞性肺疾患は閉塞で呼気が障害されているので,1秒率が低下する.拘束性は肺が拘束されている(動きが悪くなっている)病態であり,1秒率は正常であるが,肺活量が減少する.過換気症候群は血中炭酸ガスが減少する結果,血液はアルカリ性となる.
【解説】
✕1 肺線維症は,肺の線維化により肺が広がりにくくなる拘束性肺疾患である.
✕2 気管支拡張症は,気管支が炎症などにより非可逆的に拡張した状態である.咳嗽(湿性咳嗽)と喀痰が主症状である.
◯3 気管支喘息は,気道の慢性炎症による気道狭窄を示す閉塞性換気障害であり,発作時は1秒率が低下する.
✕4 過換気症候群は,発作的に肺胞過換気状態と呼吸困難を生じ,呼吸性アルカローシスになる.
✕5 CO2ナルコーシスは,CO2の蓄積によりPaCO2が上昇する.
正解 : (3)
【解法の要点】
慢性閉塞性肺疾患のエックス線写真が疑われるが,典型的とはいいにくい.特定の疾患のエックス線写真ではなく,一般的な画像の読影能力を問われていると考える.
【解説】
✕1 心拡大の所見はみられず,膨張した肺に押されて,むしろ心陰影は縮小している.CTR(心胸郭比)は44%程度である.
✕2 胸水はCP angle(肋骨横隔膜角)がdull(鈍:90°よりも大きい),もしくは消失の所見で疑われるが,本画像ではCP angleはsharp(鋭:90°よりも小さい,ただし健常者よりも鈍となっている)であるので,胸水貯留はない.
◯3 横隔膜の下降・平低化や滴状心など肺の過膨張所見が得られる.
✕4 すりガラス陰影は肺野の透過性が軽度に低下した場合にみられるが,本画像では肺野の透過性は亢進している.
✕5 肋間腔の狭小化の所見はみられず,肺の過膨張所見として肋間腔は拡大している.
正解 : (3)
【解法の要点】
拘束性換気障害,閉塞性換気障害,低酸素血症の基準を再確認する.拘束性換気障害は%肺活量が80%未満,閉塞性換気障害は1秒率が70%未満であり,この両方を満たす場合は混合性換気障害である.低酸素血症は一般に室内気吸入時のPaO2が60mmHg(Torr)以下の場合である.本問では,Aは拘束性換気障害,Bは正常,Cは混合性換気障害,Dは閉塞性換気障害である.
【解説】
✕1〜3,5
◯4 解法の要点 参照.
正解 : (4)
【解法の要点】
パルスオキシメータは,プローブを指先や耳につけて非侵襲的に脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)をモニターする機器である.実臨床では頻用するため測定原理,測定法,臨床的意義については理解しておく必要がある.
【解説】
✕1 SpO2の正常値はおおよそ95~100%である.
◯2 赤色光と赤外光を用い,酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度の差および心拍動に伴う受光量の変動成分を利用してSpO2を計測する.
✕3 血行障害があると指先や耳など末梢への血流が低下するため,正確な値が測定しにくくなる.
✕4 一定の数式に当てはめて計算するが,比例関係ではない.
✕5 歩行をはじめとした各種運動中でも計測可能である.
正解 : (2)
【解法の要点】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は身体を動かすことで血中の酸素飽和度が低下しやすい.安静時には症状がなくても,労作により呼吸困難が出現する.坂道や階段,繰り返す動作,息を止めてしまう動作などで呼吸困難が出現しやすい.
【解説】
✕1 COPDは高率に栄養障害や体重減少がみられる.総カロリーを低下させないように1回摂取量を減らし,食事回数を増やす.
✕2 IADL(手段的日常生活動作)は,電話の使用や買い物,家事などの高次の生活機能の動作であり,患者の状態を確認しながら直接指導するのが望ましい.パンフレットによる指導では不十分である.
✕3 最大心拍数の85%に達したときに中止する.
患者の最大心拍数は220-70=150(/分)であり,150×0.85=127.5から127(/分)になったときに中止する.
✕4 ADL訓練はSpO2が90%以上で行う.
◯5 COPDは息を吐くことが困難であり,息を止める動作で呼吸困難が出現する.そのため,呼気に合わせて動作を同調させることで肺の過膨張を予防し,呼吸困難を防ぐ.
正解 : (5)