【解法の要点】
二分脊椎とは,脊椎の先天的な形成不全によるもので,脊髄が癒着や損傷しているために,様々な神経障害を呈する.下肢の運動障害・感覚障害のほか,膀胱直腸障害が出現する.また,合併症として水頭症がある.
【解説】
✕1 下肢障害の合併が多い.
✕2 二分脊椎は,腰仙部にみられる先天奇形である.
✕3 皮膚欠損があり脊髄が露出する脊髄髄膜瘤では神経症状が出る.
◯4 Hofferの分類は二分脊椎の移動能力の評価基準で,独歩(CA:communityambulator),屋内歩行(HA:household ambulator),訓練レベル(NFA:non‐functional ambulator),歩行不能(NA:non ambulator)に分類する.
✕5 脊髄係留症候群は,脊髄脂肪腫や先天性皮膚洞などの病変によって固定された脊髄が成長とともに牽引されるため,学童期頃に脊髄症状が出現する.
正解 : (4)
【解法の要点】
Hoffer分類とSharrard分類と,各分類を対応させて覚えておく必要がある.Hoffer分類では,独歩(CA:community ambulator),屋内歩行(HA:household ambulator),訓練レベル(NFA:non-functional ambulator),歩行不能(NA:non ambulator)に分類する.Sharrard分類は残存レベルに応じたⅠ~Ⅵ群の分類で,Ⅰ群が最も残存機能は少ない.Hoffer分類のCAはSharrard分類のⅢ~Ⅵ群に相当する.
【解説】
✕1 NA(歩行不能)に相当する.移動にはすべて車椅子が必要である.
✕2 NA(歩行不能),NFA(訓練レベル,訓練時では杖歩行で,その他は車椅子を使用)に相当する.一部,HA(屋内歩行)に相当する.
◯3 Hoffer分類におけるCA杖歩行群は,Sharrard分類Ⅲと合致する.
✕4,5 CA(独歩群)に相当する.Ⅳ群では,短下肢装具(AFO)が必要となるが,屋外,屋内とも歩行可能である.
正解 : (3)
【解法の要点】
股関節の屈曲が可能であることから,L2の機能が残存している.このことから,L2まで機能温存されているものをSharrardの分類にあてはめて考える.
【解説】
✕1,3〜5
◯2 Ⅱ群はL1,2.
正解 : (2)
【解法の要点】
股関節の屈曲・内転が正常であることから,L2の機能が残存している.また股関節の外転が作用し始めていることから,L4までの機能の残存が期待できる.Sharrardの分類において,短下肢装具を用いて杖歩行が可能となるのはL4の機能が残存しているⅢ群である.
【解説】
✕1 Ⅱ群では機能残存レベルがL1~2である.大腿四頭筋,大内転筋が機能しない.
◯2 Ⅲ群では機能残存レベルがL3~4である.L4では大腿四頭筋が機能するため,短下肢装具を使用し歩行可能である.
✕3 Ⅳ群では機能残存レベルがL5である.前脛骨筋は機能するが,下腿三頭筋は機能しにくいため,足部は背屈位をとりやすく,踵足変形となりやすい.装具なしでも独歩可能である.
✕4 Ⅴ群では機能残存レベルがS1~2である.装具なしで歩行可能である.
✕5 Ⅵ群では機能残存レベルがS3である.装具は不要である.
正解 : (2)