【解法の要点】
少年院への入院,刑務所での服役歴を繰り返しており,口論をきっかけに刃物を持ち出すなど衝動的で反社会的な行動が見受けられる.
【解説】
✕1 強迫性パーソナリティ障害は,秩序,完全主義,精神および対人関係の統一性にとらわれ,柔軟性,開放性,効率性が犠牲にされている傾向にある.
✕2 境界性パーソナリティ障害は,感情,対人関係,自己像が非常に不安定で衝動的で,見捨てられることに不安を感じ,それを異常にさけようとする傾向にある.
✕3 回避性パーソナリティ障害は,拒絶されることに極端に過敏で,そのために消極的になる傾向にある.
✕4 自己愛性パーソナリティ障害は,自分が素晴らしいと誇大に思い.自己中心的に振る舞う傾向にある.
◯5 反社会性パーソナリティ障害は,他人への配慮がなく,衝動的な反社会行動の傾向にある.
正解 : (5)
【解法の要点】
易怒的であり,周囲の人へ暴言を吐く,リストカット,過量服薬などの行動化がみられる.また職場での対人関係も不安定になっている.境界性パーソナリティ障害が疑われ,それに対する作業療法士の関わり方が問われている.
【解説】
✕1 転職をしても新しい職場で同様の結果になることが考えられるため,根本的な解決法とはならない.
✕2 現在のところ自殺企図などの行動化は認められておらず,外来での作業療法が開始されたばかりである.現時点では入院処遇の依頼をするまでには至らない.
◯3 境界性パーソナリティ患者には,対人関係が不安定で,スタッフに対しても人により好意とこき下ろしが極端である.患者に振り回されないために,医療チームが統一した対応をこころがけることが重要である.
✕4 行動化は自分自身および他者を傷つけるおそれがある.依存を助長しないように適切な心的距離をとりつつ対応する.
✕5 患者の希望通りにその都度対応していると,患者の依存を増長させることになる.治療の枠組みをしっかりつくって,過度に依存的な関係をつくらないことが重要である.限界設定は患者の自由度を少なくするが,やってはいけないこと,やれないことが明確になり,患者は安定する.
正解 : (3)
【解法の要点】
境界性パーソナリティ障害は,感情,対人関係,自己像が非常に不安定で衝動的であり,見捨てられ不安や自傷行為が特徴的な疾患である.若年女性に多く,人口の1~2%にみられる.治療法もしっかり押さえておく必要がある.
【解説】
✕1 強い依存欲求があり,治療者にも向けられるため,過度な依存関係をつくらないことが重要である.
✕2 治療は精神療法が中心であるが,衝動性や感情不安定には,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),感情調整薬(リチウム,カルバマゼピン),少量の抗精神病薬などの薬物療法が有効である.
✕3 長期の入院は,病院スタッフへの依存を強めることになって,現実への適応能力が低下する.長期入院は避けるべきである.
✕4 他者とのかかわりは,対人関係の取り方を学ぶ良い機会なので,必要に応じて医療者が介入することはあるが交流させないということはない.
◯5 治療の目標を明確にして,治療的枠組みをしっかりと構築する.枠組みを超えた要求に対しては応じないことが必要である.
正解 : (5)
【解法の要点】
境界性パーソナリティ障害の患者との間では,治療の枠組みをしっかりつくって,過度に依存的な関係をつくらないことが重要である.
【解説】
✕1 境界性パーソナリティ障害では多少退行していることが多く,そのため依存,欲求不満,衝動行為がみられると考えられる.したがって,退行を許容すると症状は悪化する.
✕2 逸脱行動(リストカット,自殺企図,過食・嘔吐,大量服薬,暴力,喧嘩,薬物やアルコール依存,性的逸脱など)に対しては,自傷他害のおそれがあるため,治療の中断,外来治療から入院への切り替えなど,限界設定する.
◯3 自力で課題を達成できた体験は,自己効力感を高めることになり,有用である.
✕4 作業活動を通して援助を受けることにより,適度に依存欲求を満たすことが患者にとって重要であり,枠を設定しにくい面談を中心にすると治療者への依存を助長する可能性がある.
✕5 取り決め事項の枠組みをしっかりと構築し,枠組みを超えた患者の要求には応じないことが必要である.
正解 : (3)
【解法の要点】
「わざとらしい言動」「芝居がかった振る舞い」「派手な外観や見栄を張るような言動」といった病状から,演技性パーソナリティ障害であることがわかる.演技性パーソナリティ障害は,自己の感情を誇張して表出し,過度に人の注意を引こうとすることが特徴である.
【解説】
◯1 演技性パーソナリティ障害は,その場での他人のふるまいや流行に影響されやすい特徴があり,これを「被暗示性が強い」という.
✕2 演技性パーソナリティ障害は,他人の関心を引こうとする思いが過剰であることが特徴であり,他者とのかかわりを好む.
✕3 演技性パーソナリティ障害は,自己の感情を誇張して表出し,過度に人の注意を引こうとする.
✕4 過度に他者に依存するのは,依存性パーソナリティ障害の特徴である.
✕5 こだわりが強く,頑固で融通性に欠けるのは,強迫性パーソナリティ障害の特徴である.完璧主義で,そのため作業を完成させることが困難になる.
正解 : (1)